Number ExBACK NUMBER
世界最高峰NHLへ…“173cm”小柄な17歳・安藤優作にドラフト指名の可能性 実力で掴んだ王道ルート、中2でカナダへ「ホームシックは一度もない」
text by
高木遊Yu Takagi
posted2021/07/21 11:00
173cmと小柄ながら米ジュニアカテゴリー最高峰のUSHLでプレーする安藤優作
中学2年で海を渡った当初は、他の選手たちの体の大きさに威圧感を覚えたが、今でも武器になっているスピードや視野の広さ、シュートスキルは通用した。さらに、ウエイトトレーニングの環境も日本と段違いに優れていたことで、体もみるみるうちに大きくなっていった。
すると、2019年5月にアメリカのジュニアカテゴリー(16〜20歳)の最高峰リーグ・USHLのドラフトでヤングスタウン・ファントムズから全体329位(22巡目)で指名され、キャンプに招聘。200人近い金の卵がそろっていることもあり、当初コーチからは「体も小さいし、最年少の今年は経験だと思って」と伝えられていたが、そこで安藤は周囲の予想を覆し、卓越したスキルを存分に発揮した。大きなプレッシャーに打ち勝ち、見事に契約を勝ち取ったのだ。
1年目から40試合8ゴール17アシストと活躍。計2年間のプレーを終えて、今季からはシーダーラピッズ・ラフライダーズへの移籍を発表。さらなる高みを目指すことを誓っている。
NHLドラフト、指名から数年後に入団
この活躍に世界最高峰のスカウトたちも目を光らせている。安藤は7月23、24日に行われるNHLドラフト会議で指名される可能性があるのだ。
予想サイトでは、3巡目の78位とするものから224位までの予想に入らない圏外のリストまで幅広く、安藤も「声がかかるかどうかは分かりませんが、それでも夢が変わることはありません」と毅然と待つ。
NHLではドラフト指名されても、すぐに入団することは稀。チームはこのドラフトで将来性豊かな選手の権利を獲得し、数年後に入団させるというケースが主流だ。安藤のファミリーアドバイザーを務めるLeadOff Sports白井孝明代表はその背景を説明する。
「チーム側もいきなりトップレベルに来るよりもNCAA(全米大学スポーツ協会)でメンタルとフィジカルを磨いてから来てもらいたいと考えていますし、選手としてもセカンドキャリアのことを考えれば大学に進むメリットは大きいです」
安藤も「大学で数年プレーしてからのNHL入り」を描いており、多くのオファーの中からミネソタ州立大マンケート校への進学を決めている。ただ、今季もUSHLでプレーすることを選択したのは、万全の態勢でNCAAに挑みたいという思いがあるからだ。現在NHLで活躍する選手たちを見ると、《USHLで活躍→NCAAに進学→NCAA初年度から活躍》というケースがほとんど。
安藤は海外で成功する要素として「自分の実力に合ったところでプレーし、通用したら次のステップに進むこと」を挙げ、その決断に焦りは一切ない。柔軟性に富んだアメリカのシステムの中で、安藤は誰もが羨む最高峰の舞台から片時も目を逸らしていない。