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松井秀喜「なんであんなに飛ぶのか不思議」…大谷翔平とAロッドに共通する“普通とは違う”ホームラン量産のポイントとは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2021/07/09 17:04
7月9日現在、32本のホームランを放ち、メジャーリーグ本塁打王争いで独走する大谷翔平
松井秀喜「なんであんなにボールが飛ぶのか不思議だよね」
「(松井さんの活躍を)子供の頃からずっと見ていたので、光栄なことだなと思います」
こう語った大谷に松井さんから送られたエールにはこんな一文があった。
「大リーグで私も長距離打者と呼ばれたことはありましたが、彼こそが真の長距離打者だと感じます」
まさにこのやりとりが時代の変わり目のセレモニーだったように思えてならない。
日本時代からの大谷の打撃を見ていて、類似性を感じる打者がいる。
「なんであんなにボールが飛ぶのか不思議だよね」
松井さんがこう評したAロッドこと元ニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲス内野手だ。
どれだけスイングスピードを上げられるか
松井さんがAロッドの打撃を「不思議」と評した背景は、ある意味、自分のバッティングとは対極にあるものだったからである。
松井さんが巨人時代から当時の長嶋茂雄監督(現巨人軍終身名誉監督)と共に、追い求めてきた打撃というのは、どれだけスイングスピードを上げて、ボールを呼び込みながら力強く打ち返せるかということだった。
「現実には不可能なんだけど、ボールがミートポイントにきた瞬間にスイングして打ち返す。そこにどれだけ近づけるかということだった」
長嶋監督とのマンツーマンの練習を振り返って松井さんはこう話していた。
だから2002年の日米野球でバリー・ボンズを間近で観たときにも、まず驚いたのはそのスイングスピードの速さであり、その速さを生かしたスイングのパワーだった。
メジャーに渡ってヤンキースの一員となった当時のチームメイトのジェイソン・ジアンビ内野手らメジャーのスラッガーたちも、一様に凄まじいスイングスピードでピンポン球のようにボールを弾き返していた。