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《来日7年連続の2ケタ本塁打》巨人・ウィーラーが語った「助っ人外国人が日本で成功するために必要な条件」
posted2021/07/11 17:05
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
KYODO
個性がほとばしる。
巨人のゼラス・ウィーラーが打席に向かう。
東京ドームに流れる『ハクション大魔王』の軽快な曲のリズム。楽天時代から『主人公に顔が似ている』と話題となり、アニメとコラボレーションした冠イベントを開催されるほど、“大魔王”との親和性が高い。
その大魔王が豪快なアーチを描く。
ベンチでチームメートとハイタッチを交わし、最後にカメラ目線でヘルメットを1回転させてからかぶり直すセレブレーションは、ダチョウ倶楽部・上島竜兵の鉄板ネタ「くるりんぱ」のオマージュである。これも、楽天時代に会得した芸だ。
チームやファンが喜べば喜ぶほど、ウィーラーが「野球をする上で一番大事」と言うメンタルを高水準で維持できる。いつだって陽気なキャラクターでいられる。
ウィーラーの言葉を思い出す。
「キャラクターを大事にしていたいんだ。私がハッピーにしていると、みんなも乗ってきてくれる。そしてまた、自分も元気になれる。プレーに限らず、そういった姿勢を大切にしていれば愛されるからね」
周囲から注がれる歓喜と愛情を養分とするように、今季のウィーラーは暴れている。
開幕直後の4月に新型コロナウイルスの陽性反応が出たことによって出遅れたが、復帰後は快打を連発。6月には一時、首位打者に躍り出るなど、打率3割2分1厘、10本塁打、36打点と巨人打線の動力源として機能する(成績は7月10日現在)。2015年の来日以来、7年連続の2桁本塁打を達成している。
「4割越え」の得点圏打率
獅子奮迅のウィーラーに呼応するように、チームも上昇気流に乗った。6月に8連勝を含む12勝7敗3分と勝ち越して首位阪神を猛追。最大8ゲームあった差が2.5と縮まり、虎の尻尾を掴もうとしている。
逆転優勝。巨人3連覇のカギを握るのは、この男かもしれない。そう予感させるだけの数字をウィーラーは残している。