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「北京は“失敗”ではなかったかも」「サッカーがアンダーグラウンド化している」反町康治が語る“OA枠成功の舞台裏と本番への危機感”
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph byJMPA
posted2021/07/08 11:02
北京五輪の日本代表。チームを率いた反町技術委員長は苦い記憶を13年後に生かそうとしている
反町 特別だからとは思いたくないよね。でも、パリ以降も同じようにできるかというと、それは分からない。できる限りのことをやるという意味では、やっぱり東京ということで力が入っていたのもあるかもしれないし。
ただ、ヨーロッパに日本サッカー協会の拠点を置いて、これだけクオリティの高い仕事をしているんだから、それは引き続きやってほしい。これを成功例として今後も引き継いでやっていかなきゃいけないとは思うよ。パリも、パリの後も、ずっと。その結果、クラブがどうしても(選手の招集に)ノーと言うかもしれないし、最終的にはどうなるか分からないけれど。
北京の時、ドタバタ感があったのは否めない
――登録メンバー発表の会見で、反町さんはOAの招集について「(北京オリンピックでの)失敗が生かされた」と話していました。
反町 あのときは、いろんな(OAを招集できない)理由があったにせよ、ギリギリになってのドタバタ感があったことは否めない。事前にもっと整理してやらなきゃいけないという意味では、そこから学んだものは大きいと思う。
ただ、あの(会見の)場では「失敗」と言ったけれど、逆にOAを入れなかったことによって、オリンピック世代の選手がはじき出されず、そのなかから将来的に日本がワールドカップで成績を残すのに貢献した選手が出てきたからね。もしかしたら、「失敗」ではなかったかもしれない。
――同じ会見の席上で、「今回は(コロナの影響で)国際経験を積むのが難しかった」と話していました。
反町 これはどこの国も同じなので、比較論で言うなら、我々は経験しているほうなんです。例えば、昨年10月と11月にオリンピック世代としての活動ができなかったのは少し残念だったけれど、A代表の活動に海外組の三好(康児)とか、(菅原)由勢とかが参加することができたんでね。世界の流れから言えば、実は現状をポジティブに理解しているほうだとも思っている。
1年前なら麻也、柴崎、大迫……報道によるとね(笑)。
――1年延期されたことで、登録メンバーにも入れ替わりがあったと思います。
反町 そうだね。森保(一)監督も言っていたけれど、1年前にやるのと今年やるのではメンバーは違う。もしかしたら3分の1ぐらい違っていたかもしれない。その間に選手たちがより実戦経験を積んだことが、最終的にはこのメンバー選考に影響しているということはあると思う。OAだって1年前にやっていたら、(吉田)麻也、柴崎(岳)、大迫(勇也)だったかもしれない。報道によるとね(笑)。
――北京のときは、本番の約2カ月前にトゥーロン国際トーナメントに出場したことで、本番へのメンバーの見極めが進みました。