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「僕は一度死んでいるんです」 こけて、こけてこけて“ラスト1枠”をつかんだ亀山耕平のじぐざぐな体操人生
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO SPORT
posted2021/07/03 17:00
亀山耕平は七転八起の体操人生を歩んできた。たどりついた東京五輪ではどんな演技を見せるのか
「こけて、こけてこけて。そういう体操人生」
やることはやった。人事を尽くして天命を待つ亀山の元に、ワールドカップから2日後、吉報が届いた。
五輪の体操競技の日本勢は、1956年の小野喬の種目別鉄棒を第1号に、前回のリオ五輪までに31個の金メダルを獲得してきたが、手足の長い欧米人向きのあん馬に限っては金メダルが一つもない。亀山の演技は、難度や演技の質は申し分なく、ノーミスで最後まで通し切れば十分に金メダルに手が届くレベルにある。
「こけて、こけてこけて、たまにボンと成功して、またこけて。そういう体操人生ですよね。振れ幅は大きいです、本当に。でも、やり続けるしかない」
長い手足を生かした雄大な旋回でリズムを刻み、ピンとのびたつま先や体の線の美しさで観衆を魅了する亀山。やり続けてきたからこそつかめた東京五輪の舞台で、思う存分に美しい演技を披露してくれるはずだ。