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高野進「完全燃焼を味わい尽くして」~最古のレコードホルダー~

posted2021/07/05 07:00

 
高野進「完全燃焼を味わい尽くして」~最古のレコードホルダー~<Number Web> photograph by Kazuhito Yamada

text by

折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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photograph by

Kazuhito Yamada

1991年の日本選手権で樹立したその記録は、30年を経た今なお塗り替えられることなく輝く。誰もが追いつくことのできない圧倒的な高みに、30歳で上り詰めたスプリントの極意を探った。

 五輪の陸上競技トラック種目で今も残る最古の日本記録、それが1991年に高野進が叩き出した400mの44秒78である。歴代2位は45秒03で、まだ二人目の44秒台もいない状況に当の本人は「昔の高野進が出した記録というだけで、今はそれが自分の記録なのか自分でもわからなくなってきました」と苦笑する。

 吉原商高(現・富士市立高)入学後は棒高跳びをしていたが、右膝半月板損傷で短距離を始めた。2年で200mの全国の舞台を踏んだが、同高は1600mリレーがインターハイ入賞の常連校。その戦力として指名されたのが、400mを走るきっかけだった。400mの選手たちのきつい練習を見ていたので、最初は嫌で嫌で仕方なかった。「当時は自分で種目を選べるとは思っていなかったので、やるしかなかった」と振り返る。

「東海大に入ってからは全国3位になった200mと400mをやろうという気持ちでしたが、1年の関東インカレで400mで3位になり、記録もどんどん伸びたので……。嬉しい反面、後に引けなくなるなという複雑な気持ちで走っていました」

 2年の関東インカレで優勝すると、3年になった'82年には46秒51の日本記録を樹立し、ここから高野の日本記録更新ロードが始まった。この年のアジア大会では400mで優勝し、200mは6位。世界への挑戦を考えるなら400mだと確信した。

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