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ゴルフ界期待の新星ツインズ・岩井姉妹が歩んだ“プロ合格”までの長い道のり…「おめでとうメールは100件ずつぐらい、全部返しました」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byMusashigaoka College
posted2021/07/01 06:00
武蔵丘短期大学の前で撮影に応じる岩井明愛(左)と千怜。7月5日で19歳、今季の残りと来季は大学生プロとしてツアーに参戦する
岩井姉妹と直に会って話をしていると、突出した才能を備えたゴルファーであることを、ついつい忘れてしまいそうになる。
それほど彼女たちの姿勢は謙虚で真面目で純粋で、そして周囲を和ませるような温かさがある。
そのワケは、それだけ多くの人々からたくさんの愛情を注がれ、たっぷりの陽光とたっぷりの水と栄養をもらった植物がぐんぐん成長するように、彼女たちも大きく温かく育まれてきたからではないかと思う。
月1ゴルファーだった父・雄士は「公務員の給料ですから、子どもたちのゴルフの費用を捻出するのは本当に大変で、私は月1のゴルフも諦めて子供たちのゴルフの費用に回しました」と苦笑する。母・恵美子は「元々私は、ゴルフなんてどこがおもしろいのって思っていたぐらいでしたけど、今ではゴルフのことが少しわかります」と明かしつつ、娘たちを支え続けてきた。
プロテストに挑んでいた真っ只中でも、合格が決まったときも、姉妹の頭に真っ先に浮かんだのは「家族への感謝でした」。応援してくれた友だちや幼少期から師事してきた永井プロ、短大の先生、「いろんな人の顔が浮かびました」。
だから姉・明愛は最終テストの72ホール目のファイナルパットを沈めるとき、「みんな、ありがとう」と心の中で唱えた。
100件超の祝福メールすべてに即座に返信したのは、そんな2人が抱いている周囲への感謝の気持ちの表れなのだ。
プロとしてのキャリアが始まるこれからの当面の目標は「最終日最終組を2人で回って優勝争いすること」。
究極の目標は、姉・明愛は「海外メジャーで勝つこと」、妹・千怜は「国内20勝を挙げること」。
そして、たくさん賞金を稼いだら、明愛は「朝日がきらきら光る海が部屋の中からガラス越しに見える大きな家を建てて家族みんなで住みたい」。千怜は「困っている人たちのために寄付をしたい。両親や祖父母に恩返しをしたい」。
優勝して、もっともっとビッグになって、数えきれないほどの祝福メールをもらったとしても「全部返します!」。
迷うことなく、そう即答した姉妹の明るい声が、素敵な和音となって響き渡った。
※記事でご紹介できなかった写真が多数ございます。【画像】スイングもそっくり? 岩井姉妹のプレー写真を見る!