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「私が強いの、ビッグダディに育ててもらったからだ」 スターダム・林下詩美が気づいた“赤いベルトの女王”の原点
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/07/01 11:01
赤いベルトを持つスターダムの女王、林下詩美は、幼少期を振り返りながらプロレスラーとしての強さの秘密を語った
「団体最高峰のベルトは何なんだ」
女王たちの象徴。「Queen's Quest」というユニットは最強の女王たちの集まり。
英国王室とは関係ないけれど「ベルサイユのばら」はちょっと意識しているところがあるという。「美しく格好いい、というのが私にあう」。
赤いベルト戦か白いベルト戦か、どちらがメインかという論争が時として沸き上がる。
「赤いベルトのチャンピオン林下詩美としても、プロレスファン林下詩美としても、団体最高峰のベルトは何なんだ、と。赤いベルトが最高峰ならその試合がセミファイナルだったりしてメインじゃないとなると、団体がその価値を下げているんじゃないかなと思ってしまいます」
中野たむの白いベルトに挑戦する上谷には「頑張ってもらって、アフロディーテで紅白タッグを組みたい」。
「ビッグダディすごいな。びっくりした」
最後に林下はこんなことを話し始めた。最近、兄の家に行ったときに『痛快!ビッグダディ』の映像を見たという。
「ビッグダディすごいな。お兄ちゃんと見ていて、こんな生活していたんだと、びっくりした。食生活とか、今は社会人になって、皆さんと同じようなものを食べていますが、あの頃は小さいおにぎり1個ずつ、大きい鍋にとにかく味噌汁作って、それでごはん。海で釣ってきた大きくない魚の揚げ物をそれぞれ1匹ずつ。
お米があるときでも、野菜とかは高くて買えないので、弁当となると、ふりかけや紅ショウガの汁で色を付けたおにぎり。おにぎりと卵焼きだけ。魚肉ソーセージが入っている太巻きとか」
「お腹すいたね、次ごはん何時かな。って、紙にプリンとか絵を書いて、お姉ちゃんと話していた」
小麦粉をこねていた。うどんではなくヒッツミを鍋に落とした。
「小麦粉を薄く水で溶いたペラペラのお好み焼きに、ソースをかけて食べるんです。それがお好み焼きだと思っていた」
魚は釣れたが、船釣りではないので頭や内臓を落とすと小さくなってしまった。青いサカナや黄色いサカナばかり釣れるので、頑張って食べていた。川でエビを取ったりもした。
「みんなちっちゃい素直な子で、かわいいと思いました。お金はないけれど、小麦粉太りでした。
テレビはなかったから見ていませんでした。初回放送だけ大家さんの家で見たのですが、自分たちが出ているので面白くなかった。清志さんも若かった、ギラギラしていて。すごかった。なつかしい。あの時代は楽しかった。面白かったなあ、清志ってすごいなあ。今、甥っ子3人いるんですけれど、9人、10人まとめていた清志は本当にすごい。散歩行くぞ! って、ただ近所を歩くだけでもイベントみたいに盛り上げてくれた」