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「私が強いの、ビッグダディに育ててもらったからだ」 スターダム・林下詩美が気づいた“赤いベルトの女王”の原点
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2021/07/01 11:01
赤いベルトを持つスターダムの女王、林下詩美は、幼少期を振り返りながらプロレスラーとしての強さの秘密を語った
「刀羅ナツコには、真っ正面から来てほしい」
2人の過去のシングル対決は2回、一昨年の5スターグランプリでは林下がスリーパーホールドで絞め落とした。「これは体のぶつかり合いができた」。
だが、昨年の2回目はチェーンで「私は絞首刑になって反則勝ち、うれしくない勝利でした」。
「刀羅ナツコとはプロレスに対する考え方が違う。自分のプロレスを貫きたい。次の挑戦者だからと言ってナツコの関係ない試合で、私の試合にちょっかい出して邪魔するのはやめてほしい。真っ正面から来てほしい。そんなナツコと試合がしたい」
林下の決め技はハイジャック・バックブリーカーからのパワーボム。「これをさらに磨いて大事にしていきたい」
「赤いベルトが欲しいという人が現れてほしい」
「強いね」という問いに、林下は自信たっぷりに「はい」と答えた。
「気持ちの強さ。普段は表に出さないけれど、いろんな気持ちの強さを私は持っている。スターダムへの愛。ベルトを持っている責任感。プロレスが大好きなこと。その大好きが日々増している。試合をすればするほど、人の試合を見れば見るほどプロレスが好きになります。それが、プロレスの強さに出ている。
赤いベルトのふさわしい選手は倒したので、岩谷麻優から林下詩美に代わって、今度は林下詩美が持っている赤いベルトが欲しいという人が現れてほしい。出て来なかったら、私はそこまでの選手だったんだな、と」
「コロナの自粛期間から女性ファンが増えている。うれしいことですし。私は格好いいと思っているので、YouTubeやSNSで接して、実際に会場に来た時に、ああ、楽しかったで終わるのではなく、林下詩美は格好良かった、強かった、また、見たい、と感じてほしい。だから、入場から100%を出しています。
大田区は380%だったかな。最後は気力。自分が何をしていたかもわからない。どこをどう蹴られていたかもわからない。気力で戦っていた。体力を越えた戦いだった」