濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
デスマッチファイター・ドリューは血がドクドク流れても試合を止めなかった 「ケガある、傷ある。でもやる。大好きだから」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/06/30 11:00
ドリュー・パーカーは血だらけの背中でリーグ戦決勝を闘い抜き、観客を魅了した
「ケガある、傷ある。でもやる。大好きだから」
インタビュースペースで、ドリューはあらためて“蛍光灯問題”について語った。
「塚本は蛍光灯使わない。ダムズ(FREEDOMS)のチャンピオン、杉浦(透)は使っていいよって。それは恥ずかしいよ。僕たちは大日本。(チャンピオンが蛍光灯を使う)ダムズはもっと強い? 違う。一番強いのは僕。蛍光灯、ガラス、剣山、ガジェット、気にしない。なんでも大丈夫。デスマッチファイターだから。ケガある、傷ある。でもやる。大好きだから」
コメントはもちろん日本語。「ゴメン、日本語忘れた」と言う場面もあったが、それも日本語だ。言葉がシンプルな分、ストレートに気持ちが伝わってきた。なんでも使うのがデスマッチだろう。チャンピオンが蛍光灯を使わないから、蛍光灯を使うFREEDOMSより大日本が下だと思われたくない。他団体への率直なライバル意識は、切実なものでもあった。
塚本とドリューのタイトルマッチは、7月23日の後楽園大会で実現する。試合形式は未定だ。塚本は「(蛍光灯を)使わないわけじゃないんだよ」とドリューを睨みつけた。どんな凶器を使い、何を使わず、どう勝つか。リーグ戦を終えての新たなフェイズ、大日本プロレスのデスマッチは“思想闘争”の色を帯びることにもなった。その一方の極にいるのは、23歳の“デスマッチ・ガイジン”だ。
大会後のバックステージ。「(傷に沁みて)一番痛い」というシャワーを浴びようとしたドリューに、ある選手が声をかけた。
「おめでとう、でもちょっと心配だったよ」
ドリューは笑って答えた。
「ありがとう。ちょっと心配くらいが面白いでしょ?」