酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
オリックスを変えた“苦労人”の中嶋聡監督 山田久志や松坂、ダルの球を受けた“捕手らしい”の采配を数字で分析
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2021/06/29 06:00
現役時代は強肩捕手として知られた中嶋聡監督。オリックスの好調を指揮官として引っ張っている
山田、松坂、ダルの球を受けた“阪急戦士”
秋田県立鷹巣農林高から1987年ドラフト3位で阪急ブレーブスに入団。翌1988年5月3日の西武戦では、この年限りで引退する通算284勝の大投手、山田久志の球を受けている。
西武時代には松坂大輔の球を受け、日本ハムに移籍してからはダルビッシュ有の捕手も務めた。昭和から平成後期まで実働29年、惜しくも大谷翔平の球は受けることはなかったが、山田久志とダルビッシュの球を受けた捕手は、中嶋聡だけ。投手についてここまで精通している指導者は数少ないのではないか。
オリックスのリーグ優勝は1996年が最後。2014年以来ポストシーズンにも進出していない。勝ち方を忘れたチームと言っては酷だろうが、苦労人中嶋聡監督の手腕が活きるのは、シーズン後半、胸突き八丁が続くこれからだと言ってよいだろう。