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オリックスを変えた“苦労人”の中嶋聡監督 山田久志や松坂、ダルの球を受けた“捕手らしい”の采配を数字で分析 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/06/29 06:00

オリックスを変えた“苦労人”の中嶋聡監督 山田久志や松坂、ダルの球を受けた“捕手らしい”の采配を数字で分析<Number Web> photograph by Kyodo News

現役時代は強肩捕手として知られた中嶋聡監督。オリックスの好調を指揮官として引っ張っている

もとから良かった投手陣も“進化”した点って?

<投手陣の顔ぶれ ※は左腕>
2020年 西村監督時代
・先発
田嶋大樹 9試1勝3敗 55回 率2.89※
山本由伸 8試3勝1敗 53.2回 率3.41
アルバース 8試2勝5敗 40.1回 率4.04※
山崎福也 7試2勝2敗 38.1回 率4.46※
榊原翼 6試1勝2敗 29.1回 率4.59
・救援
ディクソン 18試0勝2敗 7S 3H 15.1回 率1.76
ヒギンス 21試1勝2敗 0S 7H 21回 率1.93
山田修義 25試2勝2敗 0S 8H 22.1回 率3.63※
増井浩俊 11試0勝1敗 0S 5H 9.2回 率3.72
比嘉幹貴 8試0勝0敗 0S 4H 4.2回 率0.00
吉田凌 13試1勝1敗 0S 1H 12.2回 率2.13
齋藤綱記 13試1勝0敗 0S 0H 13回 率4.15※

2021年 中嶋監督時代
・先発
山本由伸 14試7勝5敗 99.2回 率1.90
宮城大弥 12試8勝1敗 79.1回 率1.93※
山岡泰輔 12試3勝4敗 69.1回 率3.89
田嶋大樹 12試4勝4敗 66回 率4.09※
増井浩俊 10試2勝5敗 53回 率4.42
山崎福也 11試3勝5敗 57.2回 率3.75※
・救援
平野佳寿 18試0勝2敗 9S 3H 16.1回 率2.20
富山凌雅 28試2勝0敗 0S 12H 25.2回 率3.51※
山田修義 24試0勝0敗 0S 4H 18.2回 率2.89※
漆原大晟 24試2勝1敗 2S 4H 25.1回 率2.84
ヒギンス 21試1勝1敗 2S 10H 18.1回 率3.93
能見篤史 20試0勝0敗 2S 5H 17.1回 率3.63※
K-鈴木 19試0勝0敗 2S 2H 18.1回 率4.42

 昨年、西村監督時代も田嶋、山本、アルバースと言う先発陣は安定感はあった。しかし打線の援護が少なく、勝ち星にはあまり結びつかなかった。また4番手以降の先発はしっかりしていなかった。

宮城が急成長し、救援も平野佳寿以外に……

 しかし今季は山本に加え、宮城大弥という新星が現れ左右のWエースになった。宮城の捕手は主に伏見が務めているが、そのリードも大きいのではないか。さらに、田嶋、山岡、救援から回った増井も試合を作ることができている。

 救援は、昨年クローザーだったディクソンが新型コロナ禍で来日できず、大ピンチとなった。

 今季から平野佳寿が復帰したが、平野は4月13日を最後に一旦登録抹消。ここから6月に平野が復帰するまで「勝利の方程式」を作ることができず、苦しいやりくりが続いた。若い富山や漆原、K-鈴木らが起用されたが、必ずしもうまくいかなかった。しかし中嶋監督は失敗した後もこれらの投手にチャンスを与え続け、彼らも中継ぎ投手として一本立ちしつつある。

 このあたりも、二軍監督などでじっくりと選手を見てきた中嶋監督ならではの手腕と言えるかもしれない。

 中嶋聡という野球人は、稀有なキャリアの持ち主である。

【次ページ】 山田、松坂、ダルの球を受けた“阪急戦士”

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