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ラグビー新チーム『静岡ブルーレヴズ』に感じる情熱…引退・五郎丸歩が信じる“ワクワクする感覚”とは?【エコパの熱狂】 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2021/06/25 17:02

ラグビー新チーム『静岡ブルーレヴズ』に感じる情熱…引退・五郎丸歩が信じる“ワクワクする感覚”とは?【エコパの熱狂】<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

新たに「静岡ブルーレヴズ」としてスタートを切ることを発表したヤマハ発動機ジュビロ。五郎丸歩は裏方として第二の人生をスタートさせる

「静岡」を名乗ろう――その思いを後押ししたのは2019年ワールドカップの熱狂だった。

 静岡スタジアム・エコパは、日本代表が優勝候補のアイルランドを破る歴史的な勝利をあげた場所だ。地名SHIZUOKAと、事件としてのSHIZUOKA SHOCKは、一夜にして世界のメディアを駆け巡った。

 そして静岡県のラグビー界は、そのレガシーを活用することを決めた。2021年4月に静岡県ラグビー協会は一般社団法人として登記。それまで日本協会、関西協会の地方組織にすぎなかった任意団体が、自立した存在になろう、自ら価値を高めよう、そこに県全体で取り組もうという意志を発信した。

 静岡ブルーレヴズの設立会見には、静岡県ラグビー協会の星野明宏代表理事、さらに静岡県スポーツ・文化観光部 スポーツ局 スポーツ政策課の大石哲也課長が臨席していた。ヤマハ発動機ジュビロの監督から静岡ブルーレヴズのGM兼監督に肩書きを変えた堀川隆延は言った。

「静岡の地は不可能を可能にする地なんです。2年前にエコパで日本代表がアイルランドに勝った、あの熱狂、感動、空気を味わうことができた。今度は静岡県を代表するチームとして、静岡のみなさんと熱い思いを共有して、日本一を目指して精進したい。強化だけでなく、ラグビーの普及育成にも取り組んで、熱を発信していきたい」

「ジュビロ」を使わない選択

 不可能を可能にする、新しいチャレンジ。その象徴として、2003年のトップリーグ発足時から使用してきた「ジュビロ」のニックネームも刷新した。サッカーのジュビロ磐田と兄弟クラブとして築いてきた歴史を思うと「もったいないな」「同じ名前は使えないのかな?」という思いもわくが…。堀川GM兼監督はあっさりと言った。

「(ジュビロの名は)使えないわけじゃなく、使わないことにしました。サッカーのジュビロからは独立した、新しいラグビーのチームを作ろうということです」

 ヤマハ発動機サッカー部を母体にジュビロ磐田が設立されたのはJリーグが誕生した1993年だ。ヤマハ発動機ラグビー部がジュビロのニックネームを使い始めたのは2003年のトップリーグ発足から。以来20年近い歴史を重ね、ラグビーでは静岡とはヤマハでありジュビロ、すべてイコールで結ばれる構図が根付いている。

 だがその認識は、サッカー県静岡では多数派ではない。何しろ同じ県内にライバル清水エスパルスがいる。「ジュビロ」の名では県全体を代表するチームにはなりにくい。山谷社長は言った。
 
「ジュビロを使う手もあったけれど、あえて『リ・ブランディング』を考えました」

 ジュビロが築いてきた歴史の上に、新しいブランドを作っていく。

【次ページ】 キーマンはもちろん、あの男

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