濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“ビッグマウス”皇治は本当に強いのか? RIZIN「ワンナイトトーナメント」は実力をむき出しにする“クソ真面目”な包囲網
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2021/06/26 11:04
那須川天心戦での皇治。パフォーマンスに隠れがちだった本当の実力が明らかになろうとしている
“日本ムエタイ界の至宝”超大物がRIZIN初参戦
そしてもう1人、超大物のRIZIN初参戦が決まった。“日本ムエタイ界の至宝”梅野源治だ。キックボクシングとはまた違う、ムエタイ独自の技術をハイレベルで習得。タイ人選手ばりのテクニックと戦術を使いこなして“ムエタイの殿堂”ラジャダムナン・スタジアムのベルトを腰に巻いた。外国人(タイ人以外)ではごくわずかな人間しか達成していない快挙だ。近年はRIZINキックボクシング同様ヒジ打ちなしのRISEに参戦。立ち技における新たな強さの可能性を追求するとともにムエタイの強さを示そうとしている。RISEでの闘いぶりを見る限り、今の梅野はこのルールに不慣れということはなさそうだ。
トーナメント組み合わせ抽選で、1回戦の相手を指名できる権利を引き当てたのは梅野。迷うことなく皇治を指名している。これに皇治は苦笑い。「やっぱりみんな俺を狙うんやな」という意味か、あるいは「厄介な相手が来てしまった」ということか。
トーナメント決勝戦は、大会のメインイベントに据えられた。だが皇治がそのリングにいない可能性は十分にある。両者の実績、ファイターとしての“格”を比較すれば(ヒジ打ちなしルールでの経験の差を差し引いても)梅野優位。むしろ“皇治が勝ったら凄い”という試合だ。
RIZINキック部門に新たなスター誕生か
打倒ムエタイという、王道でありながらメジャーイベントには縁のない選手人生を送ってきた梅野。那須川天心“キック卒業”後のRISEを背負う存在の1人と目される白鳥。あるいは高橋が大穴を開けるか。大会が終わった時に、トーナメントの意味づけが“RIZINキック部門に新たなスター誕生”となっているかもしれない。
逆に言えば、勝てば皇治の評価も一気に上がるということだ。ビッグマウスゆえアンチもいるが、このメンバーの中で優勝すれば、その実力には文句のつけようがなくなる。そういうギャンブルに、皇治は打って出るわけだ。白鳥曰く「決勝で(皇治と)やりたいけど、1回戦が梅野選手と。心配ですね」。