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皇治のバッティングは“悪”か? 倒れた梅野は「彼の“覚悟の表れ”」、優勝した白鳥は「自分の弱さだと思う」
posted2021/07/06 17:04
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
「もう心から梅野(源治)選手には申し訳なかったと思ってます」
6月27日のRIZIN.29で行なわれたキックボクシングのトーナメント。決勝で白鳥大珠にダウンを奪われた末に判定で敗れた皇治はインタビュースペースに現れると、辛そうに1回戦で闘った梅野に対しての謝罪の言葉を口にした。無理もない。梅野は皇治のバッティングによって眼窩底と鼻骨に骨折の疑いがあるためドクターストップがかかり、試合はノーコンテストになってしまったのだ(検査の結果、鼻骨だけの骨折と判明)。
白鳥は闘わずしての優勝をよしとしなかった
本来ならばノーコンテストなのだから、皇治が決勝に進出する権利はない。ルールでも「一回戦勝者が決勝に進出できない場合はリザーバーを設けず、決勝戦は行なわない」と設定されていた。しかし、勝者がいないケースまでは想定していなかった。
こういうときに限って、代替選手であるリザーバー(補欠)を用意していない。そこで主催者はもう一方のブロックを勝ち上がった白鳥らに事情を説明し、決勝で白鳥VS皇治を組むという決断をせざるをえなかった。興行スポーツの世界では往々にして興行を成立させたり、観客を納得させることが優先される。
白鳥とて、闘わずしての優勝をよしとしなかった。「なぜ1回戦で相手にケガをさせたうえで勝ってもいない選手と闘わなければいけないのか」と主張することもできただろう。しかし、そのルックスからキック界の王子様とも呼ばれるイケメンは「契約の問題もあるけど、去年RIZINに皇治選手が来たときに、僕は最初に対戦をアピールしている。なので、ここで決着をつけないとトーナメントに出た意味はない」と決勝戦を受けた理由を語っている。
「人気や知名度でマウントばかりとってくる」
白鳥と皇治の因縁は1年前までさかのぼる。皇治がRIZINへの電撃参戦を発表すると、白鳥は真っ先に手を挙げ、SNSで「リスペクト。(翌月の)8月は暇しています」と対戦を熱望した。しかし、そのとき皇治は白鳥に興味を示さず、白鳥の同門で人気絶頂の那須川天心との対戦を実現させている。