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キミッヒとゴセンスの両翼が躍動してポルトガルを粉砕 国民の信頼を取り戻したドイツが運命のハンガリー戦へ
posted2021/06/23 17:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
ポルトガルは、ドイツにとって忘れることができない対戦国だ。
最近のビッグトーナメントではドイツが全勝しているものの、どこか不安にさせられる理由がある。
2000年6月20日、ベルギーとオランダで共催されたEUROグループステージの第3節でドイツはポルトガルに0-3で敗れている。しかも、ただの敗戦ではない。1分1敗でこの一戦を迎えたドイツは、是が非でも勝利が必要だった。一方、2連勝で決勝トーナメント進出を決めていたポルトガルは主力を温存。そんな図式だったにもかかわらず、なすすべなく負けてしまったのだ。
当時、抜本的な育成改革に着手しようとしていたドイツサッカー界は、この惨敗を機に急ピッチで導入へ動くことになった過去がある。
識者たちは結果以上に内容に懐疑的な見方を
今回のEUROも、初戦でハンガリーに3-0で快勝していたポルトガルに対し、ドイツはフランスに0-1で敗れる黒星スタート。2018年のロシアW杯の優勝国であり、今回も優勝候補の1つに数えられているフランスが相手だったとはいえ、結果以上に内容に懐疑的な見方をしているドイツ人識者が多かった。
「攻撃面が機能していなかった」
「サイドでキミッヒとゴセンスが孤立している」
「ミュラーがボールを持ってもパスの出しどころがない」
「パス能力の高いフンメルスがいるのに、クロースがボールをもらいに行く必要はない」
ドイツメディアでは、とにかくいろいろな批判が飛び交っていた。
システムそのものへの疑問も少なくない。ヨアヒム・レーブ監督は強力な攻撃陣を誇るフランス相手にセンターの守備を強固にするために、ルディガー、フンメルス、ギンターの3バックで戦うことを選択したわけだが、それが原因でオフェンスが機能しなかったという指摘が目立った。
元ドイツ代表のローター・マテウス、メーメト・ショル、ミヒャエル・バラックらも、「4バックにすべきだ」という論調を口にしていた。