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小林亜星が中日に贈った“幻の応援歌”はなぜ忘れ去られたのか 「獅子」の名曲だけではなかった球界とのつながり
posted2021/06/16 06:00
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
作曲家の小林亜星さんが亡くなった。正確には亡くなっていた。所属事務所が明らかにし、世の中に知れ渡ったのは14日だが、東京都内の病院で心不全により息を引き取ったのは5月30日。88歳だった。葬儀はすでに近親者だけで済ませており、お別れの会などを開く予定もないという。
都はるみが歌い、日本レコード大賞に輝いた「北の宿から」に代表される歌謡曲だけでなく、「ひみつのアッコちゃん」、「怪物くん」などアニメの主題歌も数多く手がけ、「ピンポンパン体操」や「あわてんぼうのサンタクロース」などなど。誰もがいつまでも口ずさみ、耳に残る。それこそが本物の名曲というものなんだろうなあ。
亜星さんが作り、人々の心を躍らせた曲はまだまだある。レナウンの「ワンサカ娘」や日立の「この木なんの木」などのCMソングも小林さんが作った曲だ。番組やCMを知らない若い世代でも、一度は聞いたことがあり、一度聞いたら忘れない。やはり本物の名曲である。
俳優業にも挑戦し、昭和の大ヒットドラマ「寺内貫太郎一家」では短気で頑固な親父役がぴたりとはまっていた。樹木希林(当時 悠木千帆)演じるきんおばあちゃんが身をよじらせて「ジュリ~」と叫び、ヒデキと親父が大げんかする。まさしく昭和の名ドラマだった。
西武・辻監督「残念でなりません」
亜星さんは球界とのつながりも太かった。松崎しげるが獅子のごとく吠える西武の球団歌「地平を駈ける獅子を見た」は亜星さん作曲。訃報を知った辻発彦監督はお悔やみコメントを出している。
「私がライオンズに入団してから、いつも私を勇気づけてくれた大切な曲です。今、メットライフドームでの勝利時にはこの名曲が流れますが、今シーズン、1回でも多く場内に響き渡るよう、やってまいりたいと思います。この度は大変残念でなりません。心よりご冥福をお祈り申し上げます」