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全体練習もまだ参加していないのに…突然告げられた「今年いっぱいで廃部」創設55年コカ・コーラの“最後の新人”野田響の今
posted2021/06/11 17:01
text by
野村周平(朝日新聞スポーツ部)Shuhei Nomura
photograph by
Coca-Cola Red Sparks
本社の経営方針により、55年の歴史に幕を下ろすことになったラグビー・トップチャレンジリーグのコカ・コーラレッドスパークス(福岡市)。最後の新人となったロック野田響(23)は4月27日、初めて出席した全体ミーティングで首脳陣からその衝撃的な知らせを聞いた。
今年いっぱいで廃部になる――。
この4月、帝京大から新入社員としてチームに加入したばかりだった。何が起こったのかを受け止めきれず、ショックでしばらく部屋を出ることができなかった。
その3日後、チームの年内活動終了の知らせが外部にも公表された。
その日、野田は自身のツイッターにこう記した。
『僕自身このような結果になってしまったことに対してなんと言えば良いか正直わかりません
短い間ではありましたがレッドスパークスのメンバーの一員になれたことはとても誇らしく光栄でした』
(一部略、原文ママ)
最初はプロップ「ラグビーだけは熱中できた」
九州男児の野田にとって、コカ・コーラはあこがれのチームだった。
福岡県大牟田市出身。日本代表SHの流大(サントリー)らが育った熊本・荒尾高校(現・岱志高校)でラグビーを始めた。中学までは柔道をやっていたが、入学時に184センチ、124キロもあった巨体が徳井清明監督の目にとまり、熱心に誘われた。
最初のポジションはプロップ。ハードな練習で体が絞られていく。ロックに転向して突破役を任されるようになると、ラグビーが徐々に楽しくなった。
「今まで色々なスポーツをやってきたけど、何をやっても熱が冷めてしまっていた。でも、ラグビーだけは熱中できた。上を目指したいって思えた」