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吉田麻也の猛抗議、遠藤航「浅野にぶち抜かれんなよ」… OA枠が“頼もしすぎる”からこそ、U-24世代に見たいもの
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKoji Watanabe/Getty Images
posted2021/06/06 17:01
田中碧へのファウルに対する猛抗議など、キャプテンシーを見せた吉田麻也。遠藤航、酒井宏樹を含めたオーバーエイジはU-24日本代表をどう成長させるか
吉田の猛抗議、試合後に語った「意思表示」とは
唸らされたのは、田中碧が相手選手から悪質なファウルを受けた71分の場面だ。すかさず吉田がファウルを犯した相手選手に殴りかからんばかりの勢いで、猛抗議した。このシーンについて、吉田が説明する。
「かわいい選手たちが削られたら、そこは行かなくてはいけない。それもゲームマネジメントのひとつ。次やったら許さないぞ、と意思表示をしなければいけないし、実際にその後はほとんどラフプレーがなくなったと思うので、みんなに見て感じてほしいと思います」
こうした相手チームへの牽制やジャッジングを味方につけるようなパフォーマンスは、これまでのチームになかったものだ。
遠藤航が橋岡に「あれ、潰さないとダメよ」
オーバーエイジの影響力は、ピッチ内に限られたものでもない。
0-3で敗れたA代表との"兄弟対決"後のロッカールームで、こんな出来事があった。
浦和レッズ時代の後輩である橋岡大樹に遠藤が「浅野にぶち抜かれんなよ。あれ、潰さないとダメよ」と厳しい言葉をぶつけ、アドバイスを送ったのだ。
最初は笑顔を見せていた橋岡も、真顔になって遠藤の言葉を受け止めた。
その後、オンラインの囲み取材に登場した橋岡からは、反省の言葉ばかりが聞かれたのである。
こうしたシーンを見るにつけ、兄貴分の頼もしさを感じずにはいられない。
視野に入れていただろう大迫を選考しなかった事情
オーバーエイジの選考に関しては、FW大迫勇也を視野に入れていた時期もあったはずだ。
だが、最終的にはセンターバックの吉田、右サイドバックの酒井、ボランチの遠藤と、後方のポジションを主戦場とする3人に決まった。
守備を安定させたうえで、後方からのビルドアップの精度も高めたいというのが最大の理由だろう。メキシコ、フランスといった攻撃力の高いチームと同組になったのだから、なおさらだ。
とはいえ、他にも事情はありそうだ。