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ホリエモン新球団はなぜ“ソフトバンク一色”の福岡に拠点を置くのか 「もうホークスの営業マンの息がかかっていない会社はない」 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byBungeishunju

posted2021/06/04 11:01

ホリエモン新球団はなぜ“ソフトバンク一色”の福岡に拠点を置くのか 「もうホークスの営業マンの息がかかっていない会社はない」<Number Web> photograph by Bungeishunju

「ホリエモン新球団」として報道された福岡北九州フェニックスは、北九州市民球場を拠点とする想定だという

地元紙「きょうのスポーツ」欄にも載らない試合情報

 新聞のスポーツ欄でプロ野球(NPB)が報じられる場合、記事のほかにイニングスコアやバッテリー、長打が載るほかに、その日の出場選手の野手ならば「打数、安打、打点」、投手ならば「投球回数、被安打、自責点」などがまとめられたボックススコアも掲載される。

 このボックススコアが新聞という不特定多数の人が目にする媒体に載ることが非常に大事だ。何気なく目にするだけで、選手個人名を知ることが出来るだけでなく、活躍度合いやどの選手が4番を打っているのかなど立ち位置も分かってくる。

 プロスポーツビジネスを行ううえで、コア層のファンの満足度を高めることも大切だが、ライト層をいかに増やし続けていくかがファン拡大の重要な要素となる。

 新聞やテレビはオワコンとの声もあり、SNSなどを活用する方法も広まってきてはいるが、SNSでコア層にリーチすることはあってもライト層の獲得につなげるのは容易ではない。やはり新聞、テレビという大衆メディアを無視することはまだ出来ないはずなのだ。

 話を戻して、熊本と大分の地方紙を見た時、この両チームの対戦に関しては「ボックススコア」もしっかり掲載されていた。しかし、九州アジアリーグは現在2球団のみの編成ということもあり、四国アイランドリーグplusや沖縄本拠の独立球団の琉球ブルーオーシャンズ、そして福岡ソフトバンクホークス三軍などと交流試合を行う。各チーム全80試合程度を行うが、リーグ内公式戦(熊本と大分の対戦)は36試合で、半分以上は交流戦となっている。九州アジアリーグでは交流戦も公式戦扱いをするとしているのだが、地元の新聞社にその思いは全く伝わっていないようだ。

 交流試合に関してはイニングスコアが掲載されているだけ。なかには試合翌日の紙面を見ても見つからず、2日遅れでの掲載もあった。

 一番驚いたのは、「きょうのスポーツ」にも全く記載がない日があったこと。その日は間違いなく、「大分対愛媛」の試合が組まれていたというのに……。

課題は地元メディアとの付き合い方

 メディア側に「地元の公共財として育てていく」との気概がないのも寂しいが、リーグや球団側も地元メディアとどれだけ膝を突き合わせて話し合いを持ったのか。または、適度にコミュニケーションをとっているのか。たとえば、火曜日の紙面(比較的紙面スペースに余裕がある)に、個人成績をまとめたものを掲載してもらうようにお願いしたり、そのための準備をしたりする工夫だって出来るはず。現状、九州アジアリーグは「誰がどれだけ打った、こんなに抑えている」という選手個人成績を知る手段があまりにも少なく、野球ファンに対して「楽しみ方」を提供できているとは言えないのだ。

 試合日の取材態勢などを見る限り、正直メディアとの付き合い方が上手だとは言い難いのが何とも寂しく感じられる。

【次ページ】 堀江氏は九州アジアリーグに革命を起こしうるか

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