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箱根駅伝11年ぶりの優勝へ、今季の早稲田はいつもと違う? 「本当にチャンスが来たんじゃないかなと思っています」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenega
posted2021/06/03 17:05
早大の駅伝主将、千明(ちぎら)龍之佑は関東インカレでも激走を見せていた
相楽監督「まずは5000mでしっかり」
「本来は5000mで出場を狙っていたんです」と菖蒲は明かすが、「5000m、10000mは(候補選手が)渋滞していて……」(相楽監督)、菖蒲は高校時代に実績のある3000m障害に回ることになった。さらに、1500mに出場予定だった選手の故障もあって、2種目に挑み、結果を残した。
「元々持っていたスパート力にさらに磨きがかかったし、本人もかなり自信を持ってきているので、まずは5000mでしっかり形として出してもらいたい。
長い距離も、3月の学生ハーフで15kmまでは先頭集団でレースができた。それ以降は足が止まっちゃったんだけど、練習量を増やしていけば、長い距離もいけるっていう手応えは本人にもある。1500mからハーフマラソンまでいける選手なので、今後の飛躍を期待したい1人ですね」
相楽監督も菖蒲の2年目に高い期待を寄せている。
ルーキーイヤーの昨年度は全日本大学駅伝で5区を走ったが、区間9位と振るわなかった。箱根駅伝は16人のエントリーメンバーには入ったものの、諸冨湧、北村光と同級生が2人も出場するなか、出走は叶わなかった。
だが、菖蒲はもともと、スピードだけでなく、ロードでも強さを発揮できる選手だ。高校2年時の全国都道府県対抗男子駅伝では、1区で上級生を破って区間賞を獲得した実績がある。そのポテンシャルの高さは折り紙付きだ。トラックの勢いそのままに、今季こそ駅伝でも菖蒲の活躍が見られそうだ。
早大卒オリンピアンに割って入った千明龍之佑
もう一人、新シーズンに入って絶好調なのが、駅伝主将でもある千明だ。5月4日の法大競技会では、5000mでそれまでの自己記録を一気に約23秒も塗り替え、13分31秒52の好記録をマークした。この記録は伝統ある早大競走部で歴代5位の記録に相当する。ちなみに、歴代1~4位、6位の早大OBはというと、1位・竹澤健介、2位・大迫傑、3位・渡辺康幸、4位・花田勝彦、6位・瀬古利彦と、全員がオリンピアン。錚々たる顔ぶれの中に、千明は割って入った。
千明は、単なるスポーツ推薦ではなく、“オリンピックや世界選手権など、国際的な競技大会への出場経験や、同等の競技能力を有していることが条件”という狭き門のトップアスリート推薦で、中谷とともに早大に入学した。忌憚なく言えば、ようやく本領を発揮したに過ぎないのだ。