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“赤土の王者”ナダルが35歳に 全仏恒例の「特大ケーキで祝福」は16年前のフェデラー撃破から始まった
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2021/06/03 06:00
6月3日はナダルの誕生日。全米オープンではナダルを特大ケーキとともにお祝いするのが恒例イベントになっている
ランキングは10年ぶりに二桁に落ち、ナダル時代の終焉というムードが漂っていた。ナダルはそれを認めることも、抗うこともしなかった。
「時代とかそういう話は好きじゃない。誰だってどこででも負ける。僕はいつだって敗戦を受け入れてきたつもりだ。今、間違いなく言えることはたったひとつ。10回目の優勝ができるかどうかはわからないけれど、僕はもっともっと努力したいと思っているし、もっと強くなって戻ってきたい」
2年後、当時3位のスタン・ワウリンカを決勝で破ってV10を達成したナダルは、さらに11、12と記録を伸ばし、新型コロナウイルスの影響で初めて秋に開催された昨年、13回目の優勝を遂げた。同時にそれは、フェデラーと並ぶ20回目のグランドスラム優勝――男子史上最多タイ記録の達成でもあった。
フェデラーとジョコビッチの存在
フェデラーとジョコビッチという最強のライバルたちがいなければ、この場所にまで達することはできなかったに違いない。対フェデラー24勝16敗、対ジョコビッチ28勝29敗という対戦成績には、すさまじい切磋琢磨と追求の軌跡が見える。
今年、全仏オープンは再び本来の季節に帰って来た。ただ、パリのロックダウンの影響で本来のスケジュールから1週遅れの開催となったため、6月3日はまだ大会の序盤。ナダルにとっては2回戦の日にあたる。バースデーソングの余韻は、この長く厳しい道の先にある前人未到の領域まで響くだろうか。