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岡崎慎司35歳が挑んだ“スペインでの2年間”「ヨーロッパで引退する覚悟じゃないと、見返すことはできない」 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2021/06/02 17:02

岡崎慎司35歳が挑んだ“スペインでの2年間”「ヨーロッパで引退する覚悟じゃないと、見返すことはできない」<Number Web> photograph by Getty Images

5月22日に今季最終節を終えて、2部降格が決まったウエスカ。岡崎慎司はクラブを去ることを自身のSNSでいち早く報告した

 開幕戦以降の4試合は3分1敗。アトレチコ・マドリーとも引き分けた。まずまずのスタートだった。そして、岡崎もすべての試合で先発出場し、日本代表にも招集される。

「パスを受けて、相手のセンターバックと対峙したときの圧に、懐かしさを感じるんです。あぁ、これだ、1部だなぁって」

「ベテランの経験をかわれて招集されても喜べない。今回はそうじゃなく、クラブで結果を残したうえでの招集は素直にうれしいし」

 しかし、10月3日のエルチェ戦で負傷し、代表も辞退を余儀なくされた。

「このままゴールすることなく2020年が終わるのかと」

 リーグ戦復帰は11月20日。4試合の欠場だったが、昨季から築いてきた先発の座も失った。20代のスペイン人FWラファ・ミルやサンドロ・ラミレスが台頭する。

 それでも、12月6日グラダナ戦で初ゴールを決める。

 自陣で相手のFKをクリアすると、猛然と相手ゴールへと走り出す岡崎の前に相手のクリアボールが転がり、絶妙なループシュートが得点につながった。

「多分、練習でも決まらないんじゃないかな。本当にラッキーだった。1部でゴールを決められなければ、スペインに来た意味はないと思っていた。でも、2カ月あまりもリハビリをしたことで、監督の信頼を取り戻すのに時間がかかった。若くてポテンシャルも高いFWたちの調子もいい。先発から外れて、このままゴールすることなく2020年が終わるのかと不安にもなった」

 焦りはなく、冷静だったと話すが、それでも余裕はなかっただろう。それがベテランストライカーの立ち位置。常にギリギリなのだ。

 12月12日の対アラベス戦では先発に復帰し、チームは初勝利を飾る。

 しかし、その後はまた勝利から遠ざかり、1月20日ヘタフェ戦に敗れ、公式戦5連敗(そのうちの1敗はコパ・デルレイで3部のチームに敗れている)。ミチェル監督は解任された。

「勝つために必要な選手」と監督から選ばれていない

「パチェタ新監督は、縦に速い現実的なサッカーを思考している。それはミチェル監督のサッカーよりも僕が生きるスタイルだとも感じている」

 新監督は岡崎を先発で4試合起用したが、1勝1分2敗と成績が上向いたわけではなかった。そして、岡崎は2月13日対セビージャ戦を最後に先発の場も失われた(4月22日のアトレチコ戦では先発出場)。

「戦力外という立場だと自覚している」

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