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【50歳でメジャー優勝】フィル・ミケルソンがゴルフ界の“永遠のヒーロー”になった理由「まるで劇場で眺める映画だ」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/05/25 06:00
史上最年長メジャー優勝が懸かった18番ホール、ミケルソンのプレーに興奮するギャラリーたち
ミケルソンのメジャー最年長優勝のドラマには、序章もあれば、さまざまな伏線もあり、登場人物も多彩だった。
「『50歳でもメジャーで勝てる』と僕が言ったとき、本気で信じてくれた人は少なかった。でも、妻のエイミーやキャディを務めている弟のティム、長年のマネージャーのスティーブ・ロイは心の底から信じ、応援してくれた」
スイングコーチのアンドリュー・ゲットソンは「軌道からやや外れていた僕のスイングをオンプレーンに戻し、ややコンパクトでシンプルな振り方に変えてくれた」。微調整したその新スイングが、ショットの安定性を向上させ、この日の優勝につながったのだとミケルソンは振り返った。
だが、キアワでの4日間、とりわけ最終日のラウンド中に一番勝利に貢献してくれたのは、弟ティムの的確な助言、進言だったとミケルソンは明かした。
「最終日、僕は出だしからボギーとバーディーを繰り返していたけど、6番でボギーを叩いたとき、ティムは『優勝するためには、きっちりスイングしない限り勝てない』と言った。それを聞いて僕はハッと我に返り、僕には結果はコントロールできないけど自分のスイングはコントロールできるのだから、きっちりスイングしなければと思った」
それが転機になり、7番、10番のバーディーにつながった。
厳しい食事制限、肉体の維持
「50歳でメジャー制覇」を成し遂げるためにミケルソンが払った最大の犠牲は「食べること」だそうだ。
以前は好きなものを好きなように食べていた彼が、厳しい食事制限に耐え、肉体の維持に努めてきたことは「夢の実現のために僕が払った最大の犠牲だ」。
しかし、肉体のスリム化は持久力の向上や身体年齢の維持につながり、メジャー6勝目につながったと実感しているミケルソンは「それは払う価値がある犠牲だった」と満足そうに頷いた。