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スポーツにおける「老境」とは?~苦しく恵まれた“老い”という特権~
posted2021/06/06 07:00
text by
藤島大Dai Fujishima
photograph by
KYODO
初めて自分自身の年齢を強く意識した瞬間を覚えている。高校2年。もしかしたら3年。テレビで夏の甲子園大会をぼんやり眺めていた。どこかの誰かが打席に現われた。実況が学年を紹介する。それを耳にして「あっ年下がここにいる」という感覚に襲われた。
兄でなく弟が大観衆の前でバットを構える。「俺はなにをしてるんだ」。そう発奮した人はビジネスで成功している。のちのスポーツライターは「なんか不思議」というあたりにとどまった。
先日、ゴルフの全米プロ選手権を50歳11カ月7日のフィル・ミケルソンが制した。メジャー大会の最年長優勝記録。サングラスを外すと、目じりにしわがちゃんとあって、見る者をうれしくさせた。