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渡邊雄太と八村塁が“NBA”で競い合うという幸せ…出会いは6年前の日本代表合宿、変化する立場と関係性「やたらと生意気になった(笑)」
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byUSA TODAY Sports/Reuters/AFLO
posted2021/05/08 17:02
2019年12月14日に実現した日本人対決。しかし、同じコートに立ったのはわずか1分9秒だった
先日、日本人として初めてマスターズ優勝を果たしたプロゴルファーの松山英樹が、優勝後に言っていた言葉が頭をよぎる。
アメリカのテレビ局のインタビューで、日本中のファンから期待をかけられながらPGAツアーで戦ってきたプレッシャーについて聞かれたときのことだ。
「あと2~3人、同じような気持ちがわかる人がいたらいいのになとは、ずっと思っていました」
世界の頂点で戦うことの過酷さ、母国から多くの期待をかけられるプレッシャーの重み。そして、それをひとりで受け止める孤独さ。それは、実際に経験した人でないと理解できないことなのかもしれない。
そう考えると、バスケットボール界において世界の最高峰、NBAの舞台に2人の日本人選手がいるということは、ファンだけでなく、当の2人にとっても幸せなことだ。個人スポーツとチームスポーツの違いがあるので、一概に松山のプレッシャーとは並べられないかもしれない。それでも、日本人選手にとって手の届かない世界だと思われていた舞台で戦う彼らにとって、すべてをひとりで背負う必要がなく、悩みや喜びを共有できる仲間がいるというのは心強いことに違いない。
渡邊にアドバイスを求めた高校生の八村
渡邊と八村が初めて会ったのは6年前、2015年6月の日本代表強化合宿だったという。その前からお互いに存在は知っていたが、高校卒業と同時にアメリカに渡った渡邊と、渡邊より学年にして3学年下の八村は、それまで接点がなかった。
当時、渡邊は渡米2年目、ジョージワシントン大での1年目を終えたところ。高校3年だった八村は、アメリカ留学を真剣に考えていて、自分が目指しているNCAAディビジョン1の大学でプレーしている渡邊に、色々とアドバイスを求めた。まだ高校生ながら、才能の片りんを見せていた八村に、渡邊もできる限りのアドバイスをした。