バスケットボールPRESSBACK NUMBER
【CSプレビュー】「課題も伸びしろ」宇都宮ブレックスが、苦手・川崎に連敗でも「今年は優勝しなきゃいけない」と思えるワケ
posted2021/04/30 17:00
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph by
B.LEAGUE
4月18日に東地区優勝を決めたことにより、宇都宮ブレックスは5月13日に開幕するチャンピオンシップ(CS)のクォーターファイナル、セミファイナルのホーム開催権を確保した。
これによって宇都宮は、残されたレギュラーシーズン5試合を、いかようにも使えるようになった。コンディションを考慮して主力のプレータイムを制限したり、CSに向けた戦術を試したり、逆に隠すこともできた。言うまでもないが、5戦全敗したとしてもCSの条件は変わらないからだ。
しかし宇都宮は、4月24・25日に行われたホーム最終節をそのような場としてとらえていなかった。相手が、今季の天皇杯決勝で敗れた最大のライバルの川崎ブレイブサンダースだったことも、その判断に大きく作用しただろう。
第1戦に1点差で敗れた後の記者会見。「CSに向けて出し惜しんだ部分もあったのか」と尋ねられた安齋竜三ヘッドコーチは、それをやんわりと否定した。
「一応CSのことも考えながら戦っていますけど、川崎さんとは絶対にトーナメントのどこかで当たると思っています。負け続けてCSに入るといろんな部分でマイナスが出てしまうと思うので、あくまで目の前の試合に集中しています」
この節、ブレックスアリーナでは、「GO!BREX」「ディフェンス」という声援の録音を試合で流すという、初の試みがなされた。また、天皇杯決勝で着用したサードユニフォームをまとうことで、「あの試合のリベンジを」という思いをかきたてた。こういた取り組みからも、クラブ全体の「消化試合にはしない」「川崎に勝つ」という強い意思がうかがえた。
川崎に今季初の連敗を喫した理由
結果として宇都宮は、第2戦も川崎に敗れた。リーグ1の勝率(.810)を誇る宇都宮が、同一カードに連敗するのは今季初のこと。川崎との今季の対戦成績は、天皇杯を含めると5戦4敗。今季唯一の負け越しとなった。
天皇杯以来、宇都宮が苦戦しているのが、川崎のビッグラインナップの攻略だ。帰化選手1名と外国籍選手2名を同時起用するこの戦略は、帰化選手を擁するチームの多くが採用しているものだが(もちろん、ライアン・ロシターを擁する宇都宮も同様だ)、遠藤祐亮は、川崎のそれは質が違うと言う。