「川崎ほどビッグラインナップをしつこくやってくるチームはあまりない印象です。ウィークポイントを見定めたら、何度も何度も同じ手で組み立ててくる。自分たちはそこに対応できていません」

　例えば、第2戦はニック・ファジーカスとパブロ・アギラールのコンビネーションプレーで畳み掛けられた。この試合、宇都宮に12-2と先行された川崎は、試合開始からまもないタイミングで、ファジーカス、アギラール、ジョーダン・ヒースのビッグラインナップを選択。宇都宮は、アギラールとそれを守るLJ・ピークや比江島慎らのサイズのミスマッチを突かれて4連続得点を許し、一気にイーブンの展開にされた。「ミスマッチへの対策はしていたけれど、準備期間があまりとれなかったこともあって、詰めが甘かったです」と遠藤は振り返る。

川崎のビッグラインナップの要であるニック・ファジーカス。自身の得点に加えて、周囲へのアシストも光る

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　3人はみな体が強く、身長が2メートルを超え、中でも外でも得点できる。アギラールとヒースは走力にも優れており、この試合もファジーカスのタッチダウンパスからファストブレイクを何本も沈められた。

　ケガで長らく戦列を離れていたマティアス・カルファニも、CSは万全の状態で迎える予定。シーズン序盤不発だったビッグラインナップがここに来て大きな力を振るうようになった川崎は、宇都宮だけでなく、CSに出場するどのチームにとっても脅威だろう。

敗戦に見出した打開策

　ただ、安齋HCは天皇杯を含めた近々の3試合の敗戦から、これを打開する糸口をつかんだようだ。

「川崎戦はたいてい点数が伸びないんですが、昨日今日は、オープンショットをよく打てていました。単純にアタックするだけでは、大型選手につぶされてしまいます。川崎さんのディフェンスは時々外が開くので、そこで躊躇なく打つことからいろんなチャンスが生まれると考えています。外のシュートの確率が上がって、トランジションの展開をもう少し増やせれば、点数が70点台に乗るかも……というビジョンが見えました」

　アウトサイドのオープンショットでチームに光明を与えそうなのが、遠藤だ。今季の3ポイントに関する数字は平均試投数が4.0本、決定率は37.6パーセント。過去2シーズンからともに数字が落ち、「オフェンスに関しては正直あまり納得の行くシーズンではない」と語る遠藤だが、第1戦終盤の重要な場面で安齋HCから指示された3ポイントを決めると、第2戦の第3クォーターには3本のそれを沈めて逆転の流れを作り、終わってみたら今季最多となる11本の3ポイントを打っていた。

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