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東京五輪マラソンのカギは「転倒もありえる」“ジグザグ道”に? 北大陸上部員だけが知るコース難所の攻略法とは
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byYumiko Yanai
posted2021/05/04 17:01
コース北大に入ってすぐのジグザグ道の一部。第二農場に突き当たり、ここを右折する
20、30、40キロ地点もメインストリートに
また、メインストリートのちょうど中間あたりに20キロ地点、30キロ地点、40キロ地点となる場所があることも、ここでレースに動きが出るかもしれないと予想する理由になっている。「30キロでの仕掛け。40キロでのラストスパート。そういうシーンがあれば、北大生としてはうれしいですね」と川瀬さんは言う。
宮瀬さんは「40キロ地点だとスピードも上げやすいので、そこでスパートが来ると思う。ただ、カーブで足を使ってしまった人は対応できないのではないか。ここで離されると前がしっかり見えるのでつらいし、離されて単独走になるとよりしんどくもなる」と加えた。
一方で気候に関しては、「意外と走れるぞ、という感覚になるのではないか」(川瀬さん)という予想を立てている。五輪本番のレースは女子が8月7日、男子が8日で、いずれも朝7時スタート。冬場のマラソンほど好条件ではないにしても、札幌は東京に比べれば涼しく、湿度が低い。コースが平坦なこともあり、スローペースにはならないだろうと見ている。
優勝タイムの予想は「2時間5分」
北大体育会の学生有志は、昨年11月から新型コロナウイルス対策として大学側が体育会所属の運動部の大会参加や遠征を禁止したことに対して「厳しすぎる」とし、制限の緩和を求めて7000人の署名を集め、4月上旬に大学へ提出した。体育会顧問の有志もこの活動を側方から支援した。その結果、大会参加制限は大幅に緩和され、4月25日には高橋さんが「兵庫リレーカーニバル」に出場し、3分48秒25で4位になった。表彰台に届かなかったのは悔しいが、今季初戦だったことを踏まえるとまずまずの結果でもあった。
さて、高橋さんと宮瀬さんに男子マラソンの優勝タイム予想を聞くと2時間5分という答えが返ってきた。獣医学部を右手に見て走るジグザグ道での位置取りや、「Boys,be ambitious!」のメッセージで知られるクラーク博士像に向かって走るメインストリートでの仕掛けなど、多くの見どころを楽しんでレースを観戦したい。