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33歳元Jリーガーが重量級プロボクサーに転身…野洲の衝撃、10年前の挫折、リベリアから亡命「やっと燃え尽きる場所が見つかった」 

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栗田シメイ

栗田シメイShimei Kurita

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posted2021/04/28 17:02

33歳元Jリーガーが重量級プロボクサーに転身…野洲の衝撃、10年前の挫折、リベリアから亡命「やっと燃え尽きる場所が見つかった」<Number Web> photograph by Shimei Kurita

プロボクサーに転向したハウバート・ダン。井上尚弥らが所属する大橋ボクシングジムで汗を流している

 現在は産廃業に従事しながら、週6で大橋ジムに通いつめている。

 毎朝6時に起床し、19時頃まで肉体労働。仕事を終えた足でジムに向かい、その後別のスポーツジムで肉体づくりを行う。日付が変わる頃に帰宅するというハードな日常だ。

 これまで経験してきたどの仕事よりも体力的に厳しいが、そんな生活を1年以上も続けている。全てはボクサーとして生きていくためで、ダンにとってははじめて純粋に競技を楽しめている時間なのかもしれない。

 高校時代のように周囲から注目を浴びることもなければ、Jリーガーのような給料が支払われることもない。それでも日本に来てから最も充実した時間であると、笑みを浮かべる。

「この年からチャンピオンに、と言うのは簡単ですが現実的でない。長い遠回りをしながら、やっと燃え尽きる場所が見つかったんです。今は出来る限り長くプロボクサーとしての時間を過ごしたい。夢を持った人を潰すことは一瞬ですが、日本は諦めなければ夢を見続けることが出来る国だと思う。おっさんになっても挑戦する権利があることをリングで伝えたいんです。笑われても、批判されても、自分の生き方に納得したい。感動を与えられる、人から応援されるボクサーになる、というのが今の目標です。下手くそでも、泥臭くボクシングに打ち込むことがそこに繋がっていくんじゃないですかね」

 40歳になってもリングに立ち続けたい――。そう話し、ミット打ちに励む表情は、決別できずにいた過去から吹っ切れたかのように晴れやかだった。競技を取り巻く環境やイメージが洗練され、一昔前のような儚さを内包するボクサー像は減衰したように映る。

 拳で生き様を表現することを願うダンの姿は、これまで取材したキャリアの終盤を迎える30代半ばのアスリート達とは重ならなかった。そう感じさせられた所以は、筆者とダンが同年代であるということだけではない気がしている。

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ハウバート・ダン
京都サンガF.C.
大橋ボクシングジム

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