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大谷翔平と4月の惑星群。9連続奪三振のデグロムだけではないMLBのTV視聴時間“43%アップ”の理由
posted2021/04/24 11:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
大谷翔平が勇ましい。有原航平もアメリカ野球が水に合っているようだ。ダルビッシュ有は、大投手の風格を漂わせはじめた。
日本のMLBファンにとっては、テレビから眼の離せない日々が続いているが、2021年の大リーグはアメリカでも人気を回復しつつある。MLB.TVの視聴時間が、前年に比べて18パーセント、2019年に比べると43パーセントも上がっている。
背景には、いくつかの要素がある。下馬評の高かったヤンキースやブレーヴスが意外な不振にあえぐ一方で、評価の低かったレッドソックス、レッズ、ロイヤルズ、マリナーズといったチームが、各地区の上位を占めている。この現象を春の椿事と見るべきか。それとも、もっと長続きする流れなのか。
もうひとつ注目すべきは、「4月の旋風児」ともいうべき選手たちの活躍だ。
投手として100マイルの球を投げ、打者として初速115マイルの本塁打を放った大谷の快挙は、日米を問わず注目を集めている。不運にも敗戦投手となったものの、クレイトン・カーショーと投げ合って一歩も譲らなかったダルビッシュの快投も特筆ものだった。
ただ、好調なのは彼らだけではない。とくに、ナ・リーグのサイ・ヤング賞を争うと見られる有力投手は、そろって快進撃を続けている。
剛球唸らせ奪った9連続三振
筆頭は、4月17日の対ロッキーズ戦で9連続奪三振の離れ業を演じてみせたジェイコブ・デグロム(メッツ)だ。
同じメッツのトム・シーヴァーが1970年4月(対パドレス戦)に達成した大リーグ記録(10連続奪三振)にはわずかに及ばなかったものの、内容が凄い。23人の打者に99球を投げたのだが、99マイル超えのファストボールが20球、100マイル超えも4球含まれていた。相手の空振り26個の内訳を見ても、12個までが速球で奪ったものだ。
こういうデータを見ると、群を抜いた剛腕ぶりに改めて驚かされる。カーショー、ウォーカー・ビューラー、トレヴァー・バウアーのドジャース三羽烏と並んで、今季もダルビッシュの好敵手になるのは必至だろう。
だが今季は、思いがけぬ伏兵も台頭している。開幕から突っ走っているのが、ブルワーズのコービン・バーンズ(26歳)だ。