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大谷翔平と4月の惑星群。9連続奪三振のデグロムだけではないMLBのTV視聴時間“43%アップ”の理由
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2021/04/24 11:00
2016年にドラフト4巡目で指名されたバーンズ。MLB公式サイトでも「防御率8.82から2年でサイ・ヤング賞候補に」と紹介され注目が集まっている
4月20日現在、バーンズは4試合に先発し、24回3分の1を投げて、2勝1敗、防御率0.37(大リーグ全体で1位)、奪三振40(ナ・リーグで1位)の好成績を残している。しかも与えた四球がゼロ。
開幕直後の先発投手が、これほどの数字を残した例はなかった。従来の記録は、アダム・ウェインライト(カーディナルス)が2013年に残した35奪三振/0四球。
もっとも、リリーフ投手にまで枠を広げると、2017年のケンリー・ジャンセン(ドジャース)が51奪三振/0四球という水準にまで記録を伸ばしたことがある。バーンズは、この記録を塗り替えることができるのだろうか。
それにしても、とバーンズの過去を知る人なら、眼を疑うのではないか。なるほど、昨季の彼は4勝1敗、防御率2.11の好成績を残し、サイ・ヤング賞投票でも6位に食い込んだ。
だが、2019年の彼は、眼を覆うような惨状を呈していた。まず、開幕4試合で被本塁打11本。得意としていたフォーシームが棒球になってしまったのが原因だが、結局、最後まで修正は利かず、シーズンを通しても1勝5敗、防御率8.82に終わってしまった。
防御率8.82から大変身を遂げた理由
そんな彼が翌20年に復活したのは、レーシック手術を受けて視力を回復させたためといわれる。決め球をフォーシームからカッターに変えて打者を牛耳る術を会得したことも、理由のひとつだろう。ビデオを見ると、カーヴやチェンジアップも巧く使っている。
ブルワーズには、バーンズ以外にも好投手がそろう。ブランドン・ウッドラフ(4試合先発。防御率1.96、奪三振26)とフレディ・ペラルタ(4試合先発。防御率2.00、奪三振31)の両右腕と、抑えの切り札ジョシュ・ヘイダー(5試合救援。4回3分の2を投げて2勝2セーヴ。防御率0.00、奪三振9)だ。
彼ら4人(全員が20代だ)が、大きな故障なくシーズンを投げ切るようなら、ナ・リーグ中地区の王座も十分射程に入ってくる。ケストン・ヒウラやアビサイル・ガルシアらの打線が調子を上げれば、このチームは惑星的な存在になるかもしれない。