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<あの日のかな~>おいでやすこが運命変えた4分間「カラオケネタは1秒変わらず間(ま)が決まっています」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKeiji Ishikawa
posted2021/04/21 11:02
おいでやす小田(右、ツッコミ担当、42歳)とこがけん(ボケ担当、42歳)
小田 異質やったんでしょうね。そんなコンビは他になかったので。
――でも、つくづく不思議だったのは、R-1の時の小田さんの、いわゆる「キレ芸」も、それだけですごくおもしろかったんですけど、引いている人もいた。ところが、漫才になった途端、急にみんなが受け入れ始めた。これはどういうことなのでしょう。
小田 自分は、ほんま変わってないんですけどね。だから、こがけんに言うてるという設定がよかったんでしょうね。R-1の審査員も務めていた関根勤さんは、ピンのときはほんまに怖かったけど、おいでやすこがのことは絶賛してくれていたんです。僕も異常ですけど、こがけんはもっと異常なわけですから。
こが 横でワーワー言われながら、僕は、何で怒ってるんだろう? という体で歌い続けている。そんな歌知らんわと言われてるけど、なんで知らないんだろうという顔で。そこは小田さんが大声を出す理由を作ってあげないとダメなので。
――なるほど。一見すると、こがけんさんの方がノーマルに見えるけど、実際はこがけんさんの方が異常で、だから観ている方は小田さんの絶叫に感情移入できるわけですね。こがけんさんがやけに歌がうまいのも笑っちゃうんですよね。
こが そんなにめちゃくちゃうまいわけじゃないですけど、そっちの方が説得力が出るじゃないですか。知らないけど、なんかありそうな歌だなと思わせなきゃダメなので。
――あのネタは、小田さんがツッコむタイミングは割と自由なのですか。
小田 そこは完全に決まっています。こがけんにもよく注意されたんで。曲を聴かせ切る前に僕がツッコんだら、「もうちょっと聴かせてからツッコんでください」みたいな。他のネタはちょっとずれたりするときはありますけどね。このネタに関しては1秒たりとも変わらず間(ま)は決まってます。
(【続きを読む】おいでやすこがにあえて聞いた「M-1、あと13回出られますが? 超多忙な今年はどうしますか?」 へ)
(写真=石川啓次)