2020年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
おいでやすこがにあえて聞いた「M-1、あと13回出られますが? 超多忙な今年はどうしますか?」
posted2021/04/21 11:03
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Keiji Ishikawa
おいでやす小田(42歳)とこがけん(42歳)、2人のピン芸人がユニットとしてM-1初の決勝進出、そして記憶に残る準優勝。結成2年目のおいでやすこがはあと13回M-1に出場する権利がある。いまや超多忙の2人だが、今年のM-1には出るのだろうか。(全3回の3回目/#1、#3へ)
――決勝1本目のネタは、すごい点数が出ました。審査員の得点はオール90点越えで、合計はそこまでトップの658点。あのときは、喜んでいるというより、小田さんなどはひたすら恐縮しているように見えました。
小田 ただ、驚いていただけだと思うんですけど。あんときの記憶、ないですから。
こが 僕は乱視で、はっきりは見えてなかったんですけど、90点台は数字が金色(それ以外は銀色)じゃないですか。パッと見たとき、全部、金色だったんです。それでマジで興奮しましたね。
――お二人の漫才のおもしろさは何なのだろうとずっと考えていたのですが、審査員の塙(宣之)さんが「十何年漫才をやってるような人にはできない、シンプルなツッコミが逆に気持ちよかった」みたいな話をされていて。そういうことかと、ものすごく腑に落ちました。
小田 さすがですよね。あの場で、一瞬で見抜かれましたよね。
――つまり、お二人は、ある意味、やむを得ずだけれども、意図的に漫才素人である部分を武器にされたわけですよね。
小田 そうです。もう一撃必殺で。将来的な漫才師像なんかもないので、あの一瞬だけに懸けていました。
「フット後藤さんみたいなツッコミになりたかった」
――最近は、ちょっと気の利いたインパクトのある言葉を「パワーワード」と表現して、それをいかに詰め込めるか、みたいな傾向もありますが、そこの呪縛からは完全に自由だったわけですね。
小田 いや、何にでもなれるのなら、そういう方向に行きたかったんですよ。ただ、その才能がなかった。ピン芸人になる前に漫才をやっていた頃は、フットボールアワーの後藤(輝基)さんみたいな例えツッコミの人になりたくて、できもせんのに真似をしていました。それで周りからは「相方はええねんけど、おまえがな……」とずっと言われていました。なので、ピン芸人になってからは、芯を食ったことを言おうとするのを辞めました。
――小田さんのいわゆる「キレ芸」は急に怒り出すので、一瞬、置いていかれる感じがおもしろいですよね。そのあと、何この人? って、笑いがこみ上げてくる。