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丸山茂樹が語る松山英樹のマスターズ優勝を決めた1打とは?「表彰式を終えた本人から電話がかかってきて…」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byGetty Images
posted2021/04/15 17:03
マスターズ表彰式後に松山から電話があったという丸山。2人の関係は2013年セガサミーカップから始まったという
『ショット・オブ・ザ・デイ』を選ぶとしたら……優勝への分岐点となったのは5番で沈めた5mのパーパットだったんじゃないでしょうか。
英樹自身は「ミスパットだった」と話していたようなので、思ったよりも強く打ってしまったのかもしれません。でも、試合の流れが落ち着く前にあれを外してボギーとしていたらどんな展開になっていたか分からない。大きな一打でした。
ああいうピンチをしのぐと、英樹ぐらい百戦錬磨の選手であれば「ちょっとのミスがあっても自分で自分を救えるな」と感じるものです。もちろん実際の頭の中は緊張で真っ白だったとは思いますが、試合の流れや展望が自分にとって良い方向に流れていることは分かる。それが支えにもなります。
3日目には大きく左に曲げて林に入ったボールが出てきたり、4日間通じて相当なラッキーもありました。そして、そのラッキーを英樹はスコアにつなげていった。「女神が微笑む」なんて使い古された常套句はあまり使いたくありませんが、試合の流れはずっと松山英樹にあったのかなと。
伊澤利光、片山晋呉との共通点
英樹とオーガスタとの相性は抜群にいいと思います。マスターズで好成績を残した日本人には共通点があって、伊澤(利光・01年4位タイ)さんにしても、(片山)晋呉(09年4位)にしても、アドレスの取り方が上手な選手なんです。
海外の選手を見ても、しっかりとコースに対して“パラレルに”ボールを飛ばせる人に合うコースだと感じるんですよね。ホールに対してショットの軌跡がどんな線を描くのか。僕なんかはパラレルではなくクロス系。野球に例えれば、右打者が右を向いてちょっと引っ掛ける感じでしょうか。
オーガスタは結構左から木がぐわっと圧力をかけてくるホールが多いんです。あれが視界に入らない、気にならない人が強い。僕はあれが視界に入ってきて苦手でした。フェードを打つにしても、ボールを切るように打つのではなく押し出す。プッシュしながらフェードが打てるような選手がいいということです。ちょっとマニアックな話ですね。