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“年収2000万円JALパイロット”の肩書を捨て…日本人初のNFL選手に一番近い26歳「課題は英語ですね」【アメフト】 

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山崎ダイ

山崎ダイDai Yamazaki

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posted2021/04/17 11:00

“年収2000万円JALパイロット”の肩書を捨て…日本人初のNFL選手に一番近い26歳「課題は英語ですね」【アメフト】<Number Web> photograph by 本人提供

日本人初のNFL選手に近づいている李卓(26歳)

「会社の同期入社の中に、すでにライセンスを持っている人もいたんです。その同期が『僕が一緒に訓練していた人の中には30歳を超えた人もいた。だから卓がフットボールを思う存分やって、そのあとパイロットにもう1回挑戦しようとしても全然遅くはないよ』ということを言ってくれて。それで気持ちが固まりました」

 そしてもうひとつ。冒頭の高校時代の経験だった。

「あの時、チャレンジしなかったことがずっと心に引っかかっていて……『後悔ってこんなにずっと心に残るんだ』と思っていたんです。大学の4年間って帰ってこない時間じゃないですか。アメリカのカレッジにもう1回チャレンジしようと思っても、現実的にそれは不可能。もし自分がこのままパイロットの道に進んだら、きっとNFLに挑戦しなかったという後悔が一生、残る。若いときのキャリアは取り戻せないと思ったんです。でも、パイロットはもしかしたら30歳を超えても挑戦できるかもしれない。だったら、やるしかないなと」

課題は英語「ネイティブではないので……」

 そうして2018年の9月、李はJALを退社して、NFLへの挑戦に照準を定める。。

 2019年春には、アメリカのスカウトイベントであるザ・スプリング・リーグに参加。昨春には、カナダCFLのグローバルコンバインにも招聘された(※コロナ禍により2020シーズンは開催中止)。

 そして昨年12月、ついにNFL側からIPPの候補選手に選ばれたという連絡が入った。NFLの1地区に所属する4つのチームが2021年のIPPプログラムの選考を勝ち抜いた海外選手を受け入れることになる。

 2月に渡米した李はここまで順調な成績を残しているという。

「これまでのキャンプでの評価は、毎週コンピートとタフネスという部分は数字で評価されるんですけど、いまのところはずっとトップで過ごせています。フットボールに関しては心配していないということは言われているので、あとはコミュニケーション面ですね。実際に選ばれてNFLのチームに合流した時に、僕は英語がもともとネイティブではないので、もっともっとフットボールのスラングに触れて、自分からどんどん積極的に話しかけて慣れていくことが課題ということは言われています」

「ロッカールームのスラングも聞き取らないと」

 テレビのインタビューに答える李の英語はかなり流暢なものだが、ただ話せるだけでは足りないという。他競技では通訳をつけるといったこともできるのだろうが、フィールド上で複雑な作戦変更などが頻繁に起きるアメフトでは、本人が言語を理解するとともにチームメイトとの意思疎通をできるようにするしかない。

【次ページ】 「ロッカールームのスラングも聞き取らないと」

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#李卓

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