Number ExBACK NUMBER
サッカーだけじゃない…国民的マンガ『#名探偵コナン』が“スポーツ愛に溢れている”と言える「4つのポイント」
posted2021/04/16 17:00
text by
松尾奈々絵(マンガナイト)Nanae Matsuo
photograph by
JIJI PRESS
劇場版シリーズの第24弾目となる『名探偵コナン 緋色の弾丸』が4月16日に公開となる。
舞台となるのは東京で開催される世界最大のスポーツの祭典「WSG -ワールド・スポーツ・ゲームス-」。世界から注目を集める中、大会スポンサーが集うパーティー会場で、企業のトップが相次いで拉致される事件が起こる。“スポーツの祭典”と聞くと、3カ月後に開幕が迫った東京五輪を連想する人も多いのではないだろうか?
今回に限らず、『名探偵コナン』では原作本編や劇場版などであらゆるスポーツが登場してきた。そもそも主人公・江戸川コナン(工藤新一)は、サッカー好きでJリーグにスカウトされるほどの実力の持ち主でもある。そこで、作品において「スポーツがどう描かれてきたのか」を紹介していきたい。
その1)コナンと言えば「サッカー」?
サッカーはコナンとは切り離せないスポーツだろう。単行本7巻では作中でもよく話題に上るJリーグ所属のサッカーチーム「東京スピリッツ」が初登場する。東京スピリッツの赤木英雄選手の弟が誘拐された事件だ。その後、阿笠博士と少年探偵団がサッカーの試合やパレードを見に行く様子が時々描かれている。
そしてサッカーといえば、灰原哀の変化についても触れておきたい。
灰原哀は基本的に理知的で冷静な性格で、感情的になることは少なく、特に喜怒哀楽の「喜」「楽」があまり顔に出ない人物だ(物語が進むにつれ、段々と和らいだ表情も見せるようになってきているが)。サッカーにも関心は薄く、19巻の天皇杯観戦時にはサングラスをし、試合にも興味を示さず、コナンに「クールだねぇ……」と言われるほどだった。しかし、プロサッカーチーム「ビッグ大阪」に所属する比護隆佑選手との出会いでそんな灰原に変化が表れる。
冷静な灰原×サッカーで描かれた「人間らしさ」
比護選手が初めて登場したのは34巻。比護選手は「ノワール東京」に所属していたが、異母兄である遠藤陸央をチームに入れた理由が比護を釣るためのエサだったことが発覚、「ノワール東京」は突然遠藤に戦力外通告をする。その後、比護は二人でJ1を制するという夢を叶えるために、遠藤を拾ってくれた「ビッグ大阪」に移籍をするのだが、移籍直後はサポーターからは「裏切り者」と呼ばれ、ブーイングされてしまう。