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“年収2000万円JALパイロット”の肩書を捨て…日本人初のNFL選手に一番近い26歳「課題は英語ですね」【アメフト】
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by本人提供
posted2021/04/17 11:00
日本人初のNFL選手に近づいている李卓(26歳)
「日常生活や、コーチと話をする分には全く問題ないんです。でも、例えばロッカールームで交わされるスラング混じりの早口な英語も聞き取れないといけないですし、実際にフィールド上でアジャストするときはどんな風に聞こえるのかも考えないといけない。ただ、それはもうやりながら経験していくしかないのかなとも思っています」
高い壁ではあるNFLという世界だが、李の中では手ごたえもある。
「国際大会でアメリカ代表と戦った時も、ある程度個人では勝負できるということは感じました。それ以上に、実際に試合中にどんどん成長しているのを感じたんですよね。なので、高いレベルの環境に身を置けば絶対に成長できると思っていて。実際にアメリカで戦ってみて、その思いはより確かなものになりました」
もちろん、本場アメリカのレベルを知れば知るほど、心が折れそうになる瞬間もあるのだという。自分と同じくらいの体格の選手が、軽々と自分よりも重いウエイトを挙げる。日本では見たことのないクイックネスの選手も何度も見た。
それでも、そんな時には過去の「後悔」を思い出すという。
「僕は日本の大学に行ったこと自体は全く後悔していません。でも、高校生の時、“挑戦しなかった”ということはずっと後悔しています。『アメリカの大学でプレーしたい』という気持ちは確かにあったのに、僕は怖かっただけで辞めてしまった。『英語もできないし、1人でUCLAなんて賢い大学に行けるの?』と、自分に自信がなくて飛び込めなかったんです。
でも、そんな可能性なんて自分の努力次第でいくらでも変わる。それはその後の人生ですごく感じました。だから、自分の可能性を決めつけず、まずはやってみて、そこで死ぬほど努力すればよかったな……とは思うんです。そういうことは高校生とか、悩んでいる選手がいるなら伝えたいですね」
日本人がいまだ到達していないNFLの舞台。かつての「後悔」を糧に、李はいまも挑戦を続けている。
李卓(り・たく)
1995年2月20日、愛知県生まれ。南山中・高時代にアメリカンフットボールをはじめる。慶應義塾大学に進学し、RBひと筋でプレー。大学3年時に日本代表として世界選手権アメリカ大会に出場。卒業後は日本航空にパイロット訓練生として入社し、社会人リーグの強豪・オービックシーガルズにも加入。ルーキーイヤーから活躍し、最優秀新人賞も受賞。2018年秋、日本航空を退社してNFLへの挑戦を決意し、昨年末よりNFLのIPPプログラムに参加中。
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