ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
武藤敬司の“ノア電撃入団”はいかに実現したのか 「経営面となると、俺は会社をふたつ潰してるからね(笑)」
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byTomosuke Imai
posted2021/04/11 17:01
ノアへの電撃入団を発表した武藤敬司。その経緯と今後の展望を語った
「俺は会社をふたつ潰してるからね(笑)」
山内 メディアに出ているまんまというか、裏表がない方なのかなとは思いました。それで「どうやったら業界No.1になれますかね」みたいな話をしたら、いろんなアドバイスをいただけて。これはもう一緒にやるしかないという気持ちが一層強くなりましたね。
その後、武田さんとも個別にミーティングした際、「武藤さんが言っていたあの件は、どうやって実現させたらいいか」という具体的な話にも発展したので、有意義な会だったと思います。
――武藤さんは山内さんに対してどんな印象を持たれましたか?
武藤 いやあ、天下のサイバーエージェントだからね。俺が昔から考えていたことが、ここでなら実現できるんじゃないかという気持ちにさせていただきましたよ。
俺はこれまで、全日本プロレスやWRESTLE-1で経営側に立っていたこともあるけど。そのときに欲しかったツールが(ノアには)揃ってるんだもん。俺なんか民放のキー局を始め、いろんなテレビ局とかにアプローチして頑張ったんだけど、全然届かなかった世界。
それが今のノアには、ABEMAのようなスマホひとつあればどこでも観られるようなツールがあったり、海外に映像を流す術も持っている。しかも昨年春には、新型コロナウイルスが感染拡大する中、いち早く無観客試合をやって、試合映像をファンに届けることもできたから、すごい可能性を感じたよね。
――ここなら、ハード面でもソフト面でも自分がこれまで培ってきたものを発揮できる、と。
武藤 いや、ハード面はみなさんに任せておけば大丈夫だという安心感だよ。言っちゃなんだけど、俺はリング内のことなら自信があるけど、こと経営面となると、会社をふたつ潰してるからね(笑)。
海外のファン気質も知っているから
――ノアなら、自分はプロレスという得意分野に専念できる、と(笑)。それ以外の部分は、山内さんや武田さんに任せられるからこそという。
武田 あと高木社長もいらっしゃいますからね。
――山内さんは武藤さんのお話のなかでプロレス業界のどんなところに可能性や魅力を感じましたか?
山内 やはり一番は海外での展開ですね。海外での放送がプロレス市場の中でも伸びているというのは、僕らとしてもわかっていたことなんですけど。武藤さんは海外でも活躍されていた方なので、向こうのファンをどう獲得していくのかといったファン気質や、アメリカのトップ選手たちがどういう団体に魅力を感じるのかということをフランクにお話しいただいて。これから海外展開していく上でのヒントをもらえたと思っています。
――2.12武道館で、武藤さんがGHCヘビー級チャンピオンになり、その3日後にノア入団を発表したのは、すごく反響があったと思いますが。山内さんは、この反響についてどう感じましたか?