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好記録続出のシーホース三河と川崎ブレイブサンダースに起きていた“音声改革”って? 「あの演出、うちでも…」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byL:SeaHorses MIKAWA co.,LTD./R:KAWASAKI BRAVE THUNDERS

posted2021/03/26 18:45

好記録続出のシーホース三河と川崎ブレイブサンダースに起きていた“音声改革”って? 「あの演出、うちでも…」<Number Web> photograph by L:SeaHorses MIKAWA co.,LTD./R:KAWASAKI BRAVE THUNDERS

三河の金丸晃輔(左)と川崎の辻直人。両リームの音声改革は彼らのプレーにも間接的に影響を与えている

3P成功率「39.3%」は突出した数字

 実は今季の三河は3P成功率がBリーグ史の中でも突出している。

 現在のチームの成功率の「39.3%」は史上最高のペースだ。しかも、個人ランキングのトップ4に三河の川村卓也、金丸、シェーン・ウィティングトンの3人が名を連ねるという、過去に類を見ない状況になっている(3月22日時点)。

 もちろん、最大の理由は選手の努力である。

 だが、どこかで『参戦』しているファンの盛り上がりが影響を与えているのかもしれない。

 福澤は言う。

「『スラムダンク』に出てくるミッチー(三井寿)の『静かにしろい この音が…… オレを甦らせる 何度でもよ』という名言があるじゃないですか? あれは選手だけではなくて、お客さんにもあてはまるのではないかと思っていまして。どんなに苦しい場面でも、『この音を聞いたらもう1回応援しよう』となっていただけたらいいなという想いが根底にあります」

「あの演出…うちでも、できないんですか?」

 音声革命の担い手として、紹介すべき存在がもう1チームある。

 先日の天皇杯で優勝を果たした川崎ブレイブサンダースだ。

 川崎のアリーナコミュニケーション部の演出担当である東岡奈実というスタッフがいる。彼女は昨シーズンも試合日の演出を改善し、音響のプロフェッショナルとともにリーグトップクラスの観戦環境を整えた。昨シーズン、川崎はBリーグの「ホスピタリティNo.1クラブ」賞に輝いたが、尽力したスタッフの1人である。

 2021年に入ってすぐのこと。

 彼女が、川崎の練習場を訪れた際、通訳の渥美雄大とエキップメントマネージャー(ユニフォームを初めとして選手が身につける用具の管理をする仕事)の伊敷仁美と雑談する機会があった。試合日にはベンチで働く2人から、こんな声が挙がった。

「アメリカでもヨーロッパでも、ゴールにマイクがついていて、それが場内に流れて迫力があるんですよね」

「あの演出……うちでも、できないんですか?」

 こうして、サンロッカーズ渋谷戦で1日限定のテストとして、ゴールに設置したマイクの音を場内に流すことになった。テストのつもりだったから、事前にそれが伝えられたのは最小限のスタッフだけ。一般には公表していなかった。

 しかし——。

 渋谷戦の来場者アンケートにも、会場には来ずに「バスケットLIVE」などで視聴したというファンのSNSからも、かなりのリアクションがあった。

 事前に知らされていなくても、ファンの耳には一発でわかる変化だったのだ。

「来シーズンから導入しようと思っていたのに、評判が良すぎて、やめるにやめられなくなってしまい(笑)。それであの試合以降、やらせてもらうことになりました!」

【次ページ】 「最初は効果音を流しているのかと思った」

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