核心にシュートを!BACK NUMBER
好記録続出のシーホース三河と川崎ブレイブサンダースに起きていた“音声改革”って? 「あの演出、うちでも…」
posted2021/03/26 18:45
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
L:SeaHorses MIKAWA co.,LTD./R:KAWASAKI BRAVE THUNDERS
この時代に音声革命が起きつつあるのは説明するまでもない。
話題のClubhouseだけではなく、NowVoiceやstand.fmなどの存在もそうだ。
そんな新時代にふさわしいムーブメントが日本のバスケットボール界で起きている。
1つは、西の名門・シーホース三河によるものだ。
ヒントは、NBA王者であるロサンゼルス・レイカーズの本拠地ステープルズセンターのキングのプレーにあった。
2019年に三河のスタッフはアメリカ視察に出かけた。ホームゲームの演出やファンサービスを良くするヒントを得るためだ。エンタメ大国にはその教材があふれている。プロスポーツに限らず様々なものに触れたのだが、もちろんNBAの試合も訪れた。
レイカーズのホームゲームでレブロン・ジェームズがダンクをたたき込む音が、スタッフの間で話題になった。
「ダンクのタイミングで特殊な効果音を足しているんじゃないの?」
他の選手のシュートが入るときの音にもインパクトがあった。調べていくと、ゴールにマイクを設置して、その音を場内で響かせているものだとわかった。
「快感を覚える一番のものはシュートの音」
この年から三河は「ファンエンターテインメントチーム」という演出に特化した部署を作ろうとしていた。それまでは試合の演出に関する業務は事業運営グループの「興行チーム」のなかで一括して行なっていた。
一歩、前に進むための改革だった。
新部署に配属された福澤孝は、アメリカ視察には同行していなかったものの、そこで得られたものは渡航したスタッフと共有した。そこで、2019年9月に行なわれたプレシーズンの大会であるEARLY CUP TOKAIをウィングアリーナ刈谷で開催した際に、場内に音を響かせる取り組みを試験的に導入した。そこで確かな効果が得られたため、10月から始まった2019−20シーズンで本格的に採用した。昨シーズンのことである。福澤が振り返る。
「バスケットにも、病みつきになる音があると思っていて。例えば、バッシュが床にあたってキュッキュッとなる音もそうだと思います。そのなかで快感を覚える一番のものはシュートの音だろうと考え、それを伝えるべく取り組んでいくことになりました」