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「ボールをストライクにしてくれ…ではない」元チームメイト斎藤隆が解説する田中将大“フレーミング発言”の真意
text by
中村計Kei Nakamura
photograph bySankei Shimbun
posted2021/03/27 17:03
2013年のソフトバンク戦。斎藤隆からウイニングボールを受け取り、ハグで祝福される田中将大
斎藤 なかったですね。じつは横浜には「もう帰ってこないでくれ」みたいな言い方をされていたので。僕は「不良債権」って言われたんですよ。まあ、僕が上層部だったら、あの時の自分に同じような評価をしていたかもしれません。でも、14年もプレーしたのに、こんなに冷たいんだって思いました。僕は黒田(博樹=元広島)とか田中みたいに「がんばってこい」と暖かく送り出されたわけではない。2人と違って、マイナー契約でしたしね。誰も僕がアメリカでできるとは思っていなかったんじゃないかな。だから、辞めた時点で、横浜はもう帰る場所ではなくなっていましたね。
――田中が帰国するという決断を下したことについては、どう感じましたか。
斎藤 相当な決断であったことは間違いないと思います。LINEで「日本に戻ります。楽天に入ります」みたいな短いメッセージをもらったんですけど、あの短い文章の中に込められた思いは、決して軽くなかったはず。コロナのこととか、家族のこととか、考えに考えた末での決断だったと思う。ただね、そのタイミングが、東日本大震災から10年の年に当たるあたりが、彼のスター性だと思うんです。野村監督が「神の子」って言ってたけど、やっぱりあいつは「神の子」。田中が楽天に帰ってきてくれたことで、何十億もの経済効果が期待できるみたいな記事も出ていましたしね。いろんな意味ですごい男ですよ。
「フレーミング」問題 田中将大の真意とは?
――話が少し逸れますが、田中が投球練習をしていたとき、捕手に「キャッチングの音よりも、フレーミングに気をつけて欲しい」とリクエストしたそうで、そのことがちょっとした話題になりました。あの「フレーミング」という言葉は、アメリカではどういう意味で使われていたのでしょうか。