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問題児デンベレがバルサ4年目にして覚醒? 「世界トップ3」になりえる両利きとスピードがついに覚醒か
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/03/15 11:02
バルサ4シーズン目を迎えているウスマン・デンベレ。今夏には移籍の可能性も囁かれた中、現在はFW起用もうまく作用し、本来の輝きを取り戻している
昨年12月29日の第16節エイバル戦から、3月6日の第26節オサスナ戦まで全公式戦でデンベレを使い続けてきたロナルド・クーマン監督は、2月上旬にこうコメントしている。
「昨季まで何があったか知らないが、今季の彼を見てきて言えることは2つ。体がとても丈夫になったことと、試合に出続けられる状態にあるということだ。それから、チームに溶け込み、楽しそうにもしている」
指揮官が最後に言及した点は3つ目の変化と言える。同郷のグリーズマンがピッチ上で見せる献身的姿勢やクーマンが寄せる信頼が、内向的なデンベレを変えたと見られている。
アシスタントコーチを務めるヘンリク・ラーションの細やかな助言によって、戦術を深く理解するようになったこともプラスに働いているようだ。
「彼は両足を同じように使える」
肉体改造に成功し、チームの一員として戦えるようになったデンベレは、監督にとって得難い武器と言えるだろう。
2シーズンと数カ月の間、デンベレを配下に置きながら十分な恩恵を受けられなかったエルネスト・バルベルデ前監督も、その威力をバルサTVで語ったことがある。
「デンベレの長所は両足を同じように使えるところだよ。何をするつもりか、我々でさえわからない。敵も当然わからないので意表を突くことができる」
例えばシュート。高い精度だけでなくタイミングや強弱のコントロールも求められるが、蹴る姿を見てもどちらが利き足かわからないほど。
「ボールを運ぶときは左足、シュートは右足を使うのが好き。左利きだけどPKは右の方が巧く蹴れる」と本人は言うものの、バルサでこれまで決めた27ゴールのうち13ゴールは左足によるもので、右足で決めた14ゴールとほぼ変わらない。
そんな特殊能力に、アフリカ系ならではのしなやかさと瞬発力と最高速が加わるのだから、ディフェンダーにしてみればこの上なく厄介な選手である。特にスペースのあるところでボールを持たれたら、1人ではまず止められない。