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トップ30に“大坂なおみ”ただ1人…元世界4位・伊達公子が語る「夢も技術もあるのに“次の世代”が勝てない理由」 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byYuki Suenaga

posted2021/03/10 17:04

トップ30に“大坂なおみ”ただ1人…元世界4位・伊達公子が語る「夢も技術もあるのに“次の世代”が勝てない理由」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

伊達が立ち上げたトップジュニア育成プログラム『伊達公子×YONEX PROJECT ~Go for the GRAND SLAM』一期生が“卒業”を迎えた

「一番にやりたかったことは、日本のテニス環境の整備です。今の日本の女子は大坂なおみ選手の存在が大きいですけど、次に続く若い選手が乏しいことは明白です。私たちがいた90年代といういい時代がありましたが、日本の女子はいつの時代も強いという未来を作りたい。海外にテニス留学をしなくても、日本で育った選手が世界で活躍できるような環境作りをしたいと思ってきました」

世界トップ30に「大坂なおみ以外いない」という現状

 伊達の全盛期は日本女子の全盛期でもあり、1995年の全豪オープンではグランドスラム史上最多の日本女子11人が本戦ドローに名を連ねた。伊達が自己最高の世界4位を初めてマークした同年11月13日付のWTAランキングでは、17位に沢松奈生子、27位に神尾米、40位に長塚京子と続いた。長塚はその数カ月前に自己最高の28位に達しており、前年には遠藤愛が26位をマークした。

 その時代が終わり、次の時代を引っ張った杉山愛も最高時の8位から陰りが見え始めていた頃、伊達は11年以上のブランクを経て現役復帰。2008年、37歳だった。第2次キャリアの最高位は46位だったが、その伊達が日本女子のトップという時期もあった。

 現在は、大坂の次が78位(3月1日付)の日比野菜緒、そして83位の土居美咲と続く。このプロジェクトの選考会を行なった頃には、トップ100に大坂以外誰もいなかった。土居が2016年10月に30位となったのを最後にトップ30には大坂以外にいない。また、世界のトップ100には22歳以下の選手が18人ランクされているが、日本人はおらず、20歳の内藤祐希の186位が最高位である。

 ただ、こうした現状だけが伊達を<改革>へ駆り立てたのでもない。そもそも環境整備とは何を意味するのか。第1次キャリアでは得ることのなかった第2次キャリアでの経験の中で、その具体的なアイデアは形作られていった――。

(【続きを読む】「“体にやさしい”は思い込み」伊達公子が批判、日本の5割を占める“砂入り人工芝”コートでは世界で勝てないワケ へ)

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