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古川奈穂20歳、永島まなみ18歳が藤田菜七子以来の女性騎手デビュー “負傷で留年”にも負けない根性と“父の夢”
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph bySankei Shimbun
posted2021/03/05 06:00
2019年、女性騎手候補生だった永島まなみ(左)と古川奈穂(右)は藤田菜七子と併せ馬で“共演”していた
永島まなみは父の夢を叶えた
兵庫出身の永島まなみは、地方競馬の兵庫に厩舎を構える永島太郎調教師の次女である。父は騎手として地方通算2043勝を挙げた名手だった。同じ地区をベースにしていた小牧太、同期の岩田康誠に次ぐ存在として活躍。永島は、そんな父の姿を見て「カッコいい」と思い、騎手を目指すようになった。父は骨太で、体重を維持するため少量の食事しか口にしなかった。その背中を見てきた彼女は、自身が飛び込む世界の厳しさを百も承知だろう。
父は、中央の競馬学校を受験したが不合格となり、また、兵庫で騎手になってからも中央への移籍にチャレンジしたことがあったが、実現しなかった。その夢を、愛娘が叶えたわけだ。
永島が目標とする騎手は、武と岩田。初めてライブで見たGIは、その岩田がレッツゴードンキで制した2015年の桜花賞だったという。
そんな彼女は、「4キロ減を生かした、積極的なレースをしたい」と話している。
斤量の軽い馬に乗ったときは、「行った者勝ち」となるよう、多少無理をしてでも前に行って流れ込みを狙ったほうがいいとされている。
百戦錬磨のベテランを相手に、先手争いで主導権を握ることができるか。土曜日の小倉第2レースでデビューし、その日は3鞍、日曜日に同じく小倉で5鞍に騎乗する予定だ。
「女性」ということを抜きにしても活躍する藤田
2月の競馬終了時で、JRA女性騎手史上最多の通算128勝を挙げている藤田菜七子は、デビューした2016年は6勝(ほかに地方で1勝)だった。4年目の2019年に女性騎手として初めてJRA重賞を制している。今は、「女性」ということを抜きにしても、「まずまず乗れる若手」のひとりになろうとしている。
現在、藤田は、遠征先のサウジアラビアから帰国して2週間の自主隔離中なので、古川や永島らと手合わせをするのは、早くても今月13日の土曜日からとなる。