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破産で4部降格から9年、30戦無敗&わずか9失点… ジェラードがレンジャーズで名将化【リバプール帰還なるか】
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三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2021/02/27 17:01

ジェラード率いるレンジャーズがスコットランドとELの舞台を密かに席巻している
99年の“優勝決定ダービー”では100人以上の逮捕者が
レンジャーズが10年ぶりにリーグを制するまで7ポイント。順当にいけば第32節、セルティック・パークでのオールドファームで優勝を決めることになる。
オールドファームでどちらかの優勝が決定するとなれば98-99シーズン以来のことだ。1999年5月のダービーマッチではレンジャーズが3-0で勝利しタイトルを確定させたが、3人の退場者が出たほか、乱入したファンが主審のヒュー・ダラスをコインで殴って出血させるなど大荒れの展開になった。またピッチ外ではファンの1人が刺されるなどして、100人以上の逮捕者が出ている。
英『talkSPORT』によれば “Shame Game(恥の一戦)”として知られるこの日以来、観客同士のトラブルを防ぐために、オールドファームでタイトルが決定しないよう日程が組まれているという。しかし今回は違う。コロナ禍ならではのスケジュールだからこその“優勝決定戦”となりえる。
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またリーグ史上初となる無敗優勝の可能性も残している。スコティッシュ・プレミアシップを蹂躙するレンジャーズは残り8試合も無敗で切り抜け、偉業を達成することができるだろうか。
ランパード、ギグスが評価を落とす中で
「名選手、名監督にあらず」という言葉は歴史が証明済みだ。
奇しくも今季はフランク・ランパードがチェルシーの監督を解任され、ウェールズ代表監督のライアン・ギグスが暴行容疑で逮捕されるなど、ライバルクラブの同世代のレジェンドたちに残念なニュースが続いている。
ではスティーブン・ジェラードはどうだろう。今季レンジャーズが見せている圧倒的な強さは、ジェラードが9年前に破産したクラブの復活の象徴となるには十分すぎるものである。いつか愛する生まれ故郷のクラブを率いる未来は決して絵空事ではない。
リバプールで伝説となったかつてのキャプテンは、アンフィールドから北北西に約176マイル、グラスゴーのアイブロックス・スタジアムから着実に名監督への道を歩みはじめている。
