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破産で4部降格から9年、30戦無敗&わずか9失点… ジェラードがレンジャーズで名将化【リバプール帰還なるか】
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2021/02/27 17:01
ジェラード率いるレンジャーズがスコットランドとELの舞台を密かに席巻している
懐かしの38歳デフォーも頑張ってる
ちなみに左サイドバックのボルナ・バリシッチも攻撃型の選手で、今季公式戦39試合で13アシストを記録している。敵陣深い位置で積極的にボールに関与する一方で、ディフェンスでのハードワークも欠かさない。ELアントワープ戦1stレグでタバルニエ負傷交代後、2ndレグも含め4度獲得したPKのうち3つを決めたのはバリシッチだった。
両SBの攻撃参加、質の高いクロス、アシスト、プレースキック……ジェラードの古巣の現在を連想してしまうのは筆者だけだろうか。
他にも多くの実力者が揃っている。
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南アフリカW杯やEURO2012などでジェラードとともにスリーライオンズの一員として戦ったジャーメイン・デフォーは、38歳になった今もレンジャーズで現役を続けている。
サウサンプトンで吉田麻也ともチームメイトだったスティーブン・デイビスが中盤でタクトを振るい、その隣にはバーンリーでもプレーしたスコット・アーフィールドが並ぶ。プレミアリーグファンにとっては懐かしいラインナップだ。
ルーマニアの英雄ハジの息子も!
またタバルニエと並びリーグ戦9アシストを挙げるMFヤニス・ハジの父親は、あのゲオルゲ・ハジだ。ルーマニアの英雄である父親――とは上背もプレースタイルも異なるが、両足から放たれる正確なキックを武器にジェラードの下で開花する可能性を秘めている。
粒ぞろいのスカッドをまとめ上げるジェラードの”キャプテンシー”はもちろん、クラブ全体に植え付けた勝者のメンタリティが、今季のレンジャーズの勝負強さに現れているのは間違いない。
アントワープ戦の1stレグでは2-3のビハインドで迎えた試合終盤、後半から投入されたライアン・ケントが同点弾を決め、決勝点となるPKを獲得した。2ndレグで後半みせたゴールラッシュの口火を切ったのも、途中投入のネイサン・パターソンだった。
要所で違いを作れる選手を投入する采配もさることながら、メンバー全員から感じられる勝利への執念は、さすがジェラードのチームだと感じさせられる。
それこそがリーグ戦で引いた相手を崩す展開でも、アントワープ戦のように打ち合いの様相を呈しても(2試合合計スコア9-5)確実に勝つレンジャーズの強さの基盤だ。