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<J1降格4チームはどうなる?>元日本代表3人が徹底予想「昇格組の徳島、福岡以外で危険な“2クラブ”は…」
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph bySHONAN BELLMARE
posted2021/02/26 11:04
昨年J1最下位(18位)に終わった湘南ベルマーレ。今季は巻き返しをはかる
岩本輝雄「僕の古巣も厳しい状況だ」
■岩本輝雄(元日本代表MF)
降格予想:
サガン鳥栖、湘南ベルマーレ、徳島ヴォルティス、アビスパ福岡
昇格組の徳島と福岡にとっては厳しいシーズンになりそうだ。
徳島はリカルド・ロドリゲス監督の下で昇格を果たしたが、そのロドリゲス監督が浦和に引き抜かれたうえに、日本での指揮が初めてとなる後任のポヤトス新監督の来日のメドが未だに立っていないというのは辛い。
福岡の長谷部茂利監督は、一昨年の水戸(7位)に続き、昨季は福岡で堅守をベースとした手堅いチームを作ってJ2を勝ち抜いてきた。前半に1点取って後半に2点目が取れたら、その後は余計なことはせず、相手陣地にボールをセーフティに蹴り出すともいえるスタイル。だが、J1に上がれば先制できる試合は限られるだろうし、先制されれば守ってばかりもいられず、戦力的に考えても難しいシーズンになるだろう。
昨季J1で最下位に終わった僕の古巣の湘南も、残念だが厳しい状況にあると言わざるを得ない。近年、主力選手の流失が続いていたが、ことしも齊藤未月、金子大毅らがクラブを離れることになった。
善戦しながら、最後に得点が奪えずに勝ち点を落とすというのが、湘南のパターンでもあるが、フルプレスでの全員攻撃、全員守備では、FWも守備に回る時間が増えてどうしても点を取るのが大変になってしまう。そういう意味では、すべての時間でプレスをかけるというよりは、もう少し自分たちでボールを保持する時間帯を長くするなど、残留に向けてはメリハリをつけた戦い方が求められるかもしれない。
仙台の雰囲気は明るくなったと聞いた
昨季13位に終わった鳥栖も、状況は苦しい。金明輝監督のやっているアグレッシブなサッカーは個人的には好きだが、とくにボランチの原川力が抜けたのは大きい。原川は運動量があってボール奪取ができるだけでなく、ゲームメイクもできる選手だったので、その穴をどう埋めるかは1つのポイントになるだろう。また、昨季大卒ルーキーながらレギュラーに定着したサイドバックの森下龍矢(→名古屋)が移籍してしまったのも痛手。頑張って欲しい気持ちはあるが、勝ち点を積み重ねるためにどう得点を奪うのかが少し見えない気がする。
昨季17位の仙台も前評判は低いが、手倉森誠監督の復帰でチームの雰囲気は明るくなったと聞いた。手倉森監督は昨季、J2の長崎で昇格にはあと一歩届かなかったが、J1での戦い方は熟知しているはず。しっかり後ろでブロックを作ってカウンターをねらう手倉森監督のサッカーはJ2からJ1昇格をねらうよりもJ1残留を目指す戦いに合っているだろうし、序盤で波に乗れれば思わぬ躍進もあるかもしれない。
4クラブが降格することを考えれば、順位表の半分くらいのクラブが終盤まで残留争いに巻き込まれても不思議ではないし、最後までもつれるのはほぼ間違いない。そういう意味では、どのクラブも少しでも勝ち点を積み上げたいだろうし、ホームゲームでも対戦相手の方が力が上だと考えれば、無理して勝ち点3をねらいに行くより確実に勝ち点1をねらいにいくような試合が増えそうだ。サポーターは納得しないかもしれないが、シビアに残留をねらうなら、そういう戦いに徹することが近道かもしれない。