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元日本代表3人が徹底予想<J1リーグ優勝はどこ?> 本命は川崎だが、対抗は「鹿島、名古屋、そして…」
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byKASHIMA ANTLERS
posted2021/02/26 11:03
鹿島アントラーズのFW上田綺世。昨季26試合10得点といよいよ覚醒した感がある
岩本輝雄「なぜ横浜F・マリノスが優勝本命か」
■岩本輝雄(元日本代表MF)
優勝予想
◎ 横浜F・マリノス
〇 川崎フロンターレ
〇 サンフレッチェ広島
王者・川崎が強いのは間違いない。ただ、優勝候補の本命には期待を込めて横浜FMを挙げたい。
昨季はコロナ禍での過密スケジュールに加え、ACLにも参加したことで連戦のなか苦しい戦いが続いたが、ことしはリーグ戦に集中できるのはメリット。一昨年の優勝時に見せた縦に速い攻撃サッカーは魅力的だったし、強烈なインパクトがあった。ことしはポステコグルー監督になって4年目のシーズン、エリキらが抜けて外国人選手の入れ替えはあったものの、戦うベースはできている。
いまのサッカーは時間をかけて得点を取るのが難しいといわれているなか、横浜FMの縦への攻撃の意識はJリーグでも屈指。個人的には走れて上手い、中盤の和田拓也が今季は重宝されるのではないかと思っている。昨季は故障もあって守備の要チアゴ・マルチンスがパフォーマンスを落としていたのが気になったが、彼の調子が戻ってくれば十分に優勝をねらえるはず。
川崎の不安材料は? 広島は補強&若手に注目
昨季、それまでの4-2-3-1から4-3-3にシステムを変えた川崎は、より攻撃に人数をかけられるようになっただけでなく、前線の三笘薫のところでポイントを作れるようになったのが大きい。2月の沖縄キャンプでは、札幌との練習試合(45分×4分)で14点を挙げているなど、ことしも川崎の攻撃力は健在だ。
一方で、昨季その札幌が川崎の連勝を12で止めた際は、前線から積極的にマンツーマン気味でプレスにいったことが功を奏したわけで、対戦相手は引いて守るのではなく勇気を持って前から守備にいくことでチャンスが生まれると思う。
川崎で気になるのは、中村憲剛が引退したことでチームがバタついたときに落ち着かせることのできる選手がいるかどうかということ。好調時にはそんな心配は不要だが、チームの歯車が狂ったときには彼のようなリーダーがいるといないとでは大きな違いになる場合がある。憲剛は若手にとってもいい手本になれる選手だったし、三笘や旗手怜央ら若手が台頭したとはいえ、個人的にはもう1年くらいやってもよかったのではないかと思っている。
昨季はリーグ3位タイの失点の少なさながら、思ったように得点が奪えず8位に終わった広島も、今季は横浜FMからFWジュニオール・サントスを補強するなどしており面白そうだ。J・サントスは昨季22試合13点と結果を出したが、点を取るだけでなくスピードがあり相手の裏も狙える選手。広島には、青山敏弘や川辺駿らいいパサーがおり、その能力をさらに発揮する可能性も。他のクラブと比較しても広島ほど、連動した守備をやるチームはないし、前線にも森島司、浅野雄也らイキのいい若手が出てきているなど、チームのバランスは悪くない。
徳島からリカルド・ロドリゲス監督を引き抜いた浦和も期待できそうな気配はあったが、シーズン開幕を前に昨季チーム得点王のレオナルドが中国の山東へ、DF橋岡大樹がベルギーのシント・トロイデンへそれぞれ移籍してしまったのは痛手。ロドリゲス監督の手腕は高く評価するが、その効果が出るには少し時間がかかるだろう。