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松田直樹への思い、18歳息子との直接対決…松本山雅・田中隼磨38歳が語る覚悟「今、僕は試されている」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHiroki Watanabe/Getty Images
posted2021/02/25 11:03
昨年はキャプテンを務めたものの怪我に泣いた田中。今季に並々ならぬ覚悟で臨む
息子・新保海鈴との親子対決の可能性も
「今、僕は試されていると思うんです」
僕=チームと解釈してもいい。言葉の温度が上がりっ放しなのは、それだけ危機感を募らせているからにほかならない。
試合に出るためにベストを尽くし、勝つためにベストを尽くす。メンバーに入らなくてもベストを尽くす。どんな状況であっても、ひたむきをマックスに押し出していく。松本山雅の姿勢と己の姿勢を同化させ、浸透させる。大幅にメンバーが入れ替わっていくこの過渡期のなか、それこそが己の使命だと言い聞かせている。
「チームメイトだけじゃないです。スタッフも、ファン、サポーターの人も、多くの人が自分の振る舞いを見ている。いつ誰が見ていても、模範となるような言動をしっかりとやっていく。毎年やっているつもりですけど、今年はもっと意識しなきゃって思いますね」
もう1つの巡り合わせは、セレッソ大阪U-18から今季、レノファ山口に加入した息子・新保海鈴との親子対決。2月28日の開幕戦でいきなり実現する可能性がある。
外から成長を見守ってきた。ユースの試合やC大阪U-23でJ3の試合に出た際もチェックしてきた。
「凄くモチベーションになっています」
「同じピッチに立てればという思いはずっとありました。夢というか、将来こうなったらいいなって思っていたことが現実味を帯びてきているので、自分としても凄くモチベーションになっています」
いろんな巡り合わせを燃料として取り込む彼がいる。
田中隼磨は“熱(あつ)くるしい”くらいでちょうどいい。
ひたむきに走り続けなければならない理由が、そこにはある。